モーガン4/4に10代の頃から憧れ続けたオーナーの物語
イギリスのモーガンモーターカンパニーは戦前から自動車をつくり続けているメーカーです。そんなモーガンのクルマを中学生時代に見て憧れ、以来ずっと胸に抱き続けていた夢を実現して、とうとう16年ほど前に「4/4」を入手するに至ったというオーナーと愛車の物語を読み解いていきます。
イギリスで生産される自動車界の「生きた化石」
毎月第3日曜日の早朝に東京の奥多摩湖に集まる旧車たち。そんな奥多摩の駐車場で出会った気になる1台にフォーカス。今回はつい最近生産終了がアナウンスされ話題となった、「モーガン4/4」を紹介しよう。
会場内で発見したひときわ古い見た目の車両は、オーナーの荒井さんによるとイギリスのモーガン4/4という車両とのこと。
モーガン4/4は戦前の1936年に誕生し、以来基本設計を変えることなく生産し続けているイギリス・モーガンモーターカンパニーの車両だ。車名の「4/4」は4輪車・4気筒エンジンを表している。じつはそんな歴史ある車両だが、近年のヨーロッパの各種規制をクリアできなくなり、ついに2019年に販売を終了したことでも話題となった。
この車両は1970年式のモーガン4/4のコンペティションモデルで、スタンダードモデルと比べて大口径のキャブやハイカム、専用のギア比を持つ上級グレードだそう。エンジンはフォード社製1.6L 4気筒、いわゆるケントエンジンと4速MTの組み合わせとなる。
若い頃の憧れを忘れられず念願叶ってモーガンオーナーに
荒井さんは中学生の頃に初めてモーガンを見て以来、ボディラインの美しさにひと目惚れし、10代の頃から「いつかはモーガンに乗りたい!」と思っていたそうだ。その後免許を取得しダットサンSR型「フェアレディ」などに乗ってきたそうだが、モーガンへの夢は消えておらず、今から16年ほど前に半年ほど探してこの個体と出会い、入手したそうだ。
1970年式とはいえ、前述の通り戦前から基本設計は変わっておらず、ボディから大きく張り出したフェンダーが備わり、左右に開くエンジンカバーを開けると中央にエンジンが搭載されている仕組み。足まわりも昔から変わらないワイヤースポークのセンターロック式ホイールのままという、かなりプリミィティブな作りとなっている。
パーツ供給は今でもOK! 今後も乗り続けるのが目標
日本国内には比較的新しい年式のモデルは存在するが、1970年式のような古いモデルは非常に少ないそう。ところがアメリカに社外品のパーツ製造メーカーがあるため、意外にもパーツ供給には困らないそうだ。またケントエンジンやトランスミッションは他にも多くの英国車に搭載されていたため、中古パーツもイギリスでは比較的簡単に入手できるのだとか。
フロントウインドウ内側にはレーシングスクリーンも装着され、フロントウインドウを前方に倒した状態でも走行が可能。また寒い季節は助手席部分にトノカバーを装着し、ヒーターONでドライブすれば、足元はポカポカだそう。
現在エンジンフードに革製のフードベルトを装着し、フロントにフォグランプを追加している他は基本的にオリジナル状態をキープしている。荒井さんは今後もオリジナルのまま乗り続けたいと語ってくれた。
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