24時間レース取材を終えていざドイツの自宅へ
過酷なル・マン24時間レースの取材を2024年も終えた池ノ内みどりさん。今度は自身がフランスからドイツまでのロングドライブをする番に。ガソリン残量を気にしながらの帰宅はまるで耐久レースのようです。途中休憩したサービスエリアの模様などを交えて、フランスとドイツの高速道路事情をレポートします。
ガソリン価格高騰のため超燃費走行で帰路につく
ル・マン市内にさよならをして、高速道路に乗ってパリを経由しドイツの自宅まで約1100kmという道のりのドライブをするときがました。
ル・マン市を出る際にスーパーマーケットのガソリンスタンドで満タンに給油して出てきましたが、ドイツ国境に辿り着くまでにはどうしても給油をする必要があります。高速道路上のガソリン価格を見ると、軒並み1Lあたり2ユーロを超えており(約340円超え)、なかなか厳しい価格です。ドイツなら高速道路の料金所がないので、いったん下道に降りて給油できますが、フランスだとそうもいきません。
また、フランスのサービスエリアの間隔はドイツよりも随分と長く感じ、給油の機会を逃すと、次の施設までに燃料切れを起こしてしまうかもと焦ります。取り急ぎ次のサービスエリアで半分を入れ、ドイツ国境のカールスルーエまでの約220kmをもつようにスピード減速大作戦発動です。
夜も遅く、高速道路のA4号線は私ひとりだけと思ってしまうような、ほとんど貸し切り状態になっていただけに、130km/h制限のところを110km/hで走っても誰にも迷惑はかかりません。ほぼ誰も通らない真っ暗な高速道路をストラスブール経由でドイツ方面へ愛車を走らせました。あまりにも真っ暗なので、アダプティブヘッドライトの性能もよく知ることができます。もちろん、前や対向車がいればすぐに消しますが、ほとんど消さなくてもよいくらいに貸し切り状態でした。
ドイツ国境に入っても十分にガソリンは残っていたので、いつもなら速度制限解除表示が出るとヒャッホ~とばかりに踏み込むのですが、ぐっとこらえて130km/hをキープしながら走行車線の一番右端(右側通行のため)を走りました。ドイツ国内のアウトバーンの推奨速度も、じつは130km/hなのですよ。あくまで推奨ですから、速度制限解除区間は安全確認をしながら、空いていれば好きな速度で走ってもいいのです。
シュツットガルトの先で無事に満タン給油完了! その辺りは夜はとくに空いていて、非常に調子よく速度無制限を楽しめる区間です。満タンになったので自宅までの残り160kmあまりの距離は燃料を気にせずアクセルを踏み込めますが、フランスからの節約モードが染みついていたのと、長旅で疲れ果てていたのでのんびりと自宅まで走りました。
日本と違いヨーロッパの高速道路の大半には街灯がありません。真夜中の真っ暗闇の中では速度感覚がよくわからなくなることもありますので、疲れているとより慎重に運転をしなければならず、超高速ドライバーは勝手に抜いていってくれますから、自分のラインをキープすることが大事です。
アウトバーンではゆっくり走るのが安全とはかぎらない
以前であれば、空いている夜を走るときはかなり楽しいハイスピード走行を楽しんでいたのですが、ガソリン価格が高騰するにつれて、最近は空いているときでも最高160~170km/hまでに抑えるようにしていました。フランスで110km/hや130km/hに慣れると、空いているときならそれくらいで走っても全然イライラしませんし、むしろ空いているときはそのスピードでも十分速く感じてしまいます。
ドイツの速度制限解除区間にて、全体的にそこそこのハイスピードで走行しているときに自分が130km/h前後で走ると、運転の仕方によっては流れを止めかねなくてかえって危険な場合もありますので、流れに乗ってスムーズに運転をすることを心がけています。
約10時間、1100kmもの距離を聖子ちゃんや明菜、ユーミンなどといった昭和の懐メロを大音量で流しながらひとりで走り切り、午前3時半ごろ、無事に自宅へ到着しました。大量の荷物を降ろし、激狭立体駐車場に駐車し、ベッドへなだれ込んで眠りにつきました。
ところで、トヨタ「ヤリス」はフランスでも製造しているのですね。民泊のオーナーのバーバラさんの愛車である、赤いヤリスの屋根に「Made in France」と大きく記載されていました。彼女はル・マン24時間レース中、ずっとトヨタを応援していたのも納得です。
長いル・マン編にお付き合い頂きまして、ありがとうございました! さて、次はどこへ?