最新鋭のテクノロジーを投下
フロントにエンジンを搭載したアストンマーティンの限定スペシャルの新たな頂点として登場した新生「ヴァリアント」は、公道を走るロードカーとしての使用を完全に保証しながら、サーキットで最高の性能を発揮するために開発された。
5.2L V12ツインターボエンジンは、最高出力ではヴァラの数値を30ps上回る745ps、最大トルクは753Nmを発生し、ヴァラと同じく6速マニュアルトランスミッションが組み合わされる。そのかたわら、主要コンポーネントにマグネシウムやチタン、最新の3Dプリンターで生成したリアサブフレームを使用することで、ヴァラからさらなる軽量化を実現したという。
また、ビスポークによってスペックを決定できるシャシーは、マルチマティック社製「ASV(アダプティブ・スプール・バルブ)ダンパー」と、サーキットにおけるパフォーマンス向上を期して調整された電子制御システムを特徴とするのにくわえて、フロントに410mm径×38mm、リアには360mm径×32mmのカーボンセラミックブレーキを標準装備し、フェード知らずのストッピングパワーを発揮する。
往年のレーシング・アストンがモチーフ
そして何より印象的なものとしているのが、サーキット直系であることを高らかに謳うようなボディワークである。ベースとなったヴァラが、1970~1980年代のアストンの名作「DBS」および「AMV8」へのオマージュというべきスタイリングとされていたのに対して、ヴァリアントはそのAMV8をベースとして、「ロビン・ハミルトン・レーシング」が開発。
1977年と1979年のル・マン24時間レースにもエントリーした伝説のレーシングマシンであるRHAM/1「マンチャー」をモチーフとしながらも、当然のことながら最先端の素材と技術により再構築したという、圧倒的なスタイリングを実現している。
くわえて、アルカンターラまたはセミアニリンレザーから選択できるインテリアがドライバーとの一体感を強めるとともに、特注のトリム付きレカロ「ポディウム」バケットシートに、標準でハーフタイプのロールケージを備えるなど、スポーツドライバーがサーキットで走るための極上のキャビンが用意されることになる。
新生ヴァリアントの予定生産台数は、世界限定でわずか38台。最初の納車は2024年第4四半期に開始される予定ながら、まずは2024年7月11日〜14日に英国で開催予定の「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」における、有名なヒルクライムコースでのデモンストレーション走行をもって、一般公開とするとのことだ。
そしてデモ走行のドライバーは、ヴァリアントの顧客第1号の手に委ねられることも発表された。もちろん、これまで2度にわたるF1ワールドチャンピオンを獲得し、現在でもアストンマーティンF1チームのドライバーとして闘うフェルナンド・アロンソその人である。