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なぜホンダ新型「ヴェゼル」は純正のタイヤ銘柄が増えた? 辛口モータージャーナリストがFFと4WDの走りの進化を検証します

なぜホンダ新型「ヴェゼル」は純正のタイヤ銘柄が増えた? 辛口モータージャーナリストがFFと4WDの走りの進化を検証します

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TEXT: 斎藤慎輔(SAITO Shinsuke)  PHOTO: 山本佳吾(YAMAMOTO Keigo)

  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):ボディカラーはシーベッドブルー・パール
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):2024年4月にマイナーチェンジを受けた
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):フロントグリルの形状を変更し水平方向を強調
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):HuNTパッケージではカッパー・メタリック塗装のフォグライトガーニッシュが備わる
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):リアコンビネーションランプをオールLED化するとともに水平基調の2段のグラフィックに統一
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):1.5L直4エンジンとモーターを組み合わせるハイブリッド
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):前席のセンターコンソールを左右対称に変更している
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):センターの物置きスペースは2段で使いやすくなった
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):プライムスムース×ファブリックにカーキ&ネイビーの専用カラーのコンビシート
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):ファブリックの素材には撥水・撥油機能のあるFABTECT(ファブテクト)を採用している
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):ラゲッジルームの容量は404L
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):後席をフルフラットにした状態
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV Z(FF):リアのハッチゲートは電動で開閉可能
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV Z(FF):今回のマイチェンではフロントグリル、フロントバンパーの形状を変更
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV Z(FF):フロントからボディ横、リアまで360°水平基調のキャラクターラインを際立たせた
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV Z(FF):プライムスムース×ファブリックのシート
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV Z(FF):後席の広さはセンタータンクレイアウトによる恩恵
  • ホンダ ヴェゼル G(4WD):ガソリン仕様のエンジンは1.5L直4のNA
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV Z(FF):ブリヂストン アレンザの225/50R18 95Vを履く
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):16インチはハンコックのキナジーECO2で、サイズは215/60R16 95H
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):ドライバーとしては、まずはワインディングに向かうまでの街中や日常域において、たしかに従来より静かになった
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(4WD):4WDではブレーキトラクション制御を見直し発進性を向上させている
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV Z(FF):ボディカラーはプレミアムサンライト ホワイト・パール

売れ筋ゆえの悩み「納期問題」も改善するマイナーチェンジ

ホンダの人気コンパクトSUV、2代目「ヴェゼル」が2024年4月にマイナーチェンジを果たしました。初期型のe:HEV・FF仕様ではとくに乗り心地に課題があると指摘していた激辛モータージャーナリストの斎藤慎輔氏が、進化したヴェゼルの走りを検証しました。注目すべきポイントはズバリ、タイヤのサイズと銘柄。その心とは?

e:HEVを主力としてガソリン仕様は4WDのみの設定に

2021年4月のモデルチェンジで2代目となったホンダ「ヴェゼル」が、2024年4月にマイナーチェンジされた。

初代ヴェゼルは2013年に発売されたが、コンパクトサイズのクーペスタイルSUVでありながら、ホンダ独自のセンタータンクレイアウトによるパッケージングがもたらす広さ、使い勝手の良さなども加わり、当初から高い人気を得ていたものだ。もっとも、これの初期型に関して言えば、音や乗り心地での粗さが目立つもので、走りや快適性の面では、あまり褒められたものではなかったという記憶のほうが強い。

だが、モデルライフの8年の間に繰り返された改良によって、とくに最後期モデルにおいては、初期型からは想像できないほどに、走行感覚には小気味よさ、スムーズさを備えたうえ、室内騒音や乗り心地が大きく改善されていたことも印象に残っている。

2代目ヴェゼルは、センタータンクレイアウト採用のプラットフォームを踏襲しつつ、スタイリングはホンダの新しいデザイントレンドを取り入れた水平基調のシルエットや、フロントマスクも、それまでの各モデルで統一感を重視していたいわゆるホンダ顔からは決別し、独自のフェイスが与えられた。

パワートレインも一新され、先に投入された新型「フィット」などと同様に、主力は「e:HEV」(イーエイチ イーブイと呼ぶ)で、基本は直列4気筒1.5Lエンジンで発電してモーター駆動およびバッテリーチャージを行い、エンジンのほうが効率のよい一部の走行域では、モーターを介さずエンジン直結で走るシステムのハイブリッドを採用する。

廉価版として、ハイブリッドシステムを持たない1.5Lエンジン搭載モデルの「G」もあるが、今回のマイナーチェンジでは、FF仕様は設定がなくなり、4WD仕様のみとなる。これは、3月に発売された、ヴェゼルよりひと回りコンパクトなSUVの「WR-V」(インドで生産)が、同じく1.5Lエンジンを搭載するうえ、ヴェゼルと接近する価格等を考慮して、WR-Vでは選べない4WD仕様だけを残したということらしい。

e:HEVのFFモデルのみ乗り心地と操縦安定性を改良

今回のマイナーチェンジでは、フェイスやライト類のデザイン変更、新しいボディカラーの採用といった外観の小変更を施した。それとともに、ハイブリッド車では往々にして課題となりがちな、走行中のエンジン停止、始動による突然の振動騒音の変化と増加、さらに登坂時や高速走行時などでエンジンが中高回転域まで回ってしまう際のエンジン音、逆にEV走行では目立つことになるロードノイズなどを改善し、室内静粛性の向上を果たしたという。

さらに、乗り心地と操縦安定性を向上とあるが、よくよく見てみれば、この部分に改良を加えたのはe:HEVのFFモデルのみだ。自身の記憶を辿ってみれば、この2代目ヴェゼルの発売からほどなくして、e:HEVのFFで1000km以上の試乗を行ったが、その際は、見た目や室内およびラゲッジの広さには満足できたものの、リア側の突き上げがひどくて、なにより後席は乗り心地がキツい。それにエンジンの始動、停止の際の振動、音の変化が煩わしいこと、高速域でのエンジン音がうるさくその領域では燃費も芳しくないことなど、短距離試乗ではさほど気にならなかったり、わからなかった点も知ることになった。

当のホンダとしても、このあたりは納得のできる仕上がりにまでは至っておらず、機会があれば改良を施したいと考えていたところなのだろう。

18インチタイヤはミシュランにブリヂストンを加えた2銘柄に

ちなみに、今回はタイヤ銘柄も、18インチ(225/50R18 95V)仕様に関してはこれまでのミシュランに加えて、今回はブリヂストンが加わり2銘柄となっている。ここでの疑問は、ミシュランとブリヂストンでは、車両開発側が求める性能は同じだったとしても、実際には特性がかなり異なるというのは、長い経験からして間違いない。だがしかし、理由を思い巡らしていたら、近年のミシュランの供給能力不足はホンダ向けに限らず聞こえてくる話なので、ヴェゼルもこれが車両生産の制約の一因となっていたのかもしれない。

その解決策として、供給体制に不安のないブリヂストンが選ばれた、というのは憶測ではあるが、サスペンションやステアリング系の制御見直しも、新たに採用されたブリヂストンのアレンザへのマッチングも考慮したものになっているのは想像に難しくない。

そもそも、このシャシーには18インチタイヤはキャパシティ的に厳しく、16インチ仕様のほうが走り、乗り心地、何よりバランス面でも好ましいというのは、マイナーチェンジ前からわかっていたことだが、そうは言ってもやっぱり見た目は大事で、そのせめぎあいの中で主力に添えられている18インチ仕様であるから、開発陣の頭を悩ますことになったのではないだろうか。

ちなみに、16インチタイヤは、Gグレード(ガソリンモデル)用だけ特性が変更されている。こちらは、コスト面などからだろう、車体側には新たな遮音対策は施しておらず、その代わりに従来品よりロードノイズを少し抑えたタイヤを新採用したとのことだ。

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