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ベンツが神話だった70年代の「W123」…驚きの安全性と最新テクノロジーは当時の国産車では足元にも及べない知恵が詰まっていました

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: Mercedes-Benz AG/妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)/妻谷コレクション(TSUMATANI Collection)

安全性を高めてドライバーの負担を軽減

筆者は、このW123の知覚安全(視界と視認性)と環境安全、人間工学的に設計された疲れないシートが大変優れていることを強調したい。広いウインドウによって優れた視界を得ており、とくに客室の剛性は高く保ち、各ポストはできる限り細く造り上げてブラインド・スポットを最小限に止めている。

新設計のワイパーは同方向に作動し、全ウインドシールド面積の78%を拭きとり、停止位置は運転に邪魔にならなく、高速でも浮き上がらない高性能なものであった。前後ポストには特殊形状なクロームプレート(ルーフランネル)が取り付けられ、雨中汚水をルーフに導きサイドウインドウが汚れないよう工夫されている。

ウインドウ

さらに気配り設計としてボディまわりにはラバープロテクターが取り付けられ、雨の運転中でもこのラバープロテクターが汚水を受け止めサイドウインドウを汚れなくし、しかも駐車中、隣のクルマのドアが当たってもガードする役目を果たしてくれる。

テールライトは凹凸形状になっており、汚水で凹部は汚れないよう設計され、視認性を高めている。特筆すべきはシートデザインが人間工学的に設計され、呼吸するシートと呼ばれていたこと。シートは多層になっており、各層が重なり合って目詰まりを起こさない構造になっている。つねにシートの中の空気が循環することで通気性を良くし、身体の湿気や汗を吸収し発散させる。サポート性がよく、硬めで長距離運転しても疲れないシートである。

W123の時代でも、筆者は相変わらず日本語版カタログ撮影のため、箱根などへの遠征でW123の各モデルを運転する機会を得て、有名なメルセデス・ベンツ哲学「シャシーはエンジンよりも速く」を体験させてもらった。

メルセデス・ベンツW123シリーズの存在は、中型カテゴリーの中でも最高峰と呼ぶに相応しい、先見性豊かな技術と堂々たる老舗の誇りを示した作品群となった。そして、1982年の「190E/W201」発表後の1984年に、「W124/Eクラス」にバトンタッチされた。

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  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 1949年生まれで幼少の頃から車に興味を持ち、40年間に亘りヤナセで販売促進・営業管理・教育訓練に従事。特にメルセデス・ベンツ輸入販売促進企画やセールスの経験を生かし、メーカーに基づいた日本版のカタログや販売教育資料等を制作。またメルセデス・ベンツの安全性を解説する独自の講演会も実施。趣味はクラシックカー、プラモデル、ドイツ語翻訳。現在は大阪日独協会会員。
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