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シザーズドアがルノーにもあった! ソフトトップもないルノー・スポール「スピダー」は超硬派ゆえに700万円でも落札されず

シザーズドアがルノーにもあった! ソフトトップもないルノー・スポール「スピダー」は超硬派ゆえに700万円でも落札されず

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Iconic Auctioneers

60台のみが販売された英国向け右ハンドル仕様の「パラブリーズ」

ディエップの旧アルピーヌ・ファクトリーでは、1日4台のペースのハンドメイドで、1685台のルノー・スポール「スピダー」を完全ハンドメイドで生産したといわれるが、2024年5月18日、アイコニック・オークショネアーズ社が英国ノーザンハンプトン州シウェルのローカル飛行場を会場とするオークションに出品したのは、英国マーケットで60台のみが販売されたといわれる、右ハンドル仕様の「パラブリーズ」である。

ちなみに英国市場向けとしては、右ハンドル仕様のパラブリーズがもっとも多く生産されていたとのこと。ところが、実際に販売されたのは上記の60台のみで、残りの車両は運転席エアバッグを追加した左ハンドル仕様に戻され、主にドイツ市場で販売されたといわれている。いっぽう、日本には約100台のパラブリーズが正規輸入されたものの、こちらはいずれも左ハンドルだったという。

それはさておき、今回のオークション出品車両は、1997年12月16日にルノーの正規代理店「ベイリーズ・オブ・ハンリー」社を介して新車として納車されたのち、5000マイル(約8000km)強を走行しているとのこと。

FRP製ボディワークは、スピダーおよびルノー・スポールのシグネチャーカラーとされた、オリジナルの3層ペイントの「パールセント・リキッド・イエロー」で仕上げられており、いわゆる「ショールームコンディション」を今なお保持しているという。

サービス記録もしっかりと残されている

これまで、数多くのルノー・スポール スピダーを扱ってきたと自称するアイコニック・オークショネアーズ社でも、これ以上の個体はほとんどなかったとのことだ。そのコンディションは低走行のマイレージに見合ったものであり、サービス記録によって完全に裏付けられているという。

この記録簿によると、最新のメンテナンス作業は、2023年8月にレスターシャー州のルノー・スペシャリストである「シーダーモーターズ」社で実施され、この時にはカムシャフトを駆動するコッグドベルトも交換されたばかりとのことであった。

また、オーナーズブックパックやサービスマニュアル、多数の領収書と請求書、車両の所有権を示すV5C証明書、以前のMOT車検証と両方のキー、透明で耐候性のあるコックピットカバーが今でも添付されている。
さらに、フロントのラゲッジコンパートメントには、ロックホイールナットとスペア、牽引フック、ジャッキを収納する純正「ブリーフケース」も残されている。

これだけのコンディションと来歴の確かさゆえに、アイコニック・オークショネアーズ社が設定したエスティメート(推定落札価格)は3万5000ポンド(約700万円)~4万ポンド(約800万円)という、現時点におけるスピダーとしては比較的高めの見立てを行っていた。

ところが、実際の競売では期待していたようには入札が伸びなかったのか、現オーナーが希望した最低落札価格には届かなかったため、残念ながら「Not Sold(流札)」に終わってしまったようだ。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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