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メルセデスがこだわる「知覚安全性」とは? 周囲のクルマや歩行者にアピールすることが安全につながるベンツ神話を紹介します

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: Mercedes-Benz Group AG/妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)/TSUMATANI Collection

知覚安全性:見せることの安全性(被視認性)

メルセデス・ベンツが重視しているのが被視認性、つまりほかのドライバーや歩行者に素早く自車の存在を見せる安全性である。

凸凹形状のテールレンズからLEDコンビネーションランプへ

以前のメルセデス・ベンツは、後方からの被視認性を良くするために凸凹形状のテールレンズを採用していた。つまり、凸の形状の部分は汚れが付きやすいが、凹の形状の部分は汚れが付きにくい構造であった。

最近のメルセデス・ベンツLEDコンビネーションランプは、凸凹形状でなく平面形状で、汚れが付着しても輝度が保たれ、応答の速い優れた被視認性によって後続車に自車の存在を鮮明に知らせることができ、高い安全性を確保している。さらに、歩行者や二輪車からも確認しやすいウインカーミラーは世界に先駆けて1998年のSクラス W220から採用している。

安全なボディカラーを積極採用

メルセデス・ベンツは、1960年代からボディカラーを安全な視認性順に並べたチャートを作成し、カスタマーへ啓蒙活動を行ってきた。これはドイツ国内のタクシーの色を、それまでの黒からチャート上位にあった視認度の高いライトアイボリー(623)に変えるという法律制定(1970年施行)のきっかけにもなった。

カラーチャート

筆者がヤナセの現役社員時代、顧客がボディカラーで迷っている場合には、このボディカラーチャートで安全な色を勧めたものだ。専売ショールームにはカラーサンプルも展示している。最近の交通事情ではすぐに自車を認められるボディカラーが安全の重要な要素になっているが、ユーザーの個人的な好みの色とのコンビネーションに配慮すべきではないかと考えている。

ドライバーはトンネル内もよく走るが、照明は何色だろうか? 以前は排ガスや塵の影響を受けにくい透過性の良い蛍光オレンジ色であった(現在は白いLED)。暗いトンネル内をもっとも早期に認識できるカラーになっていた。この蛍光オレンジ色を100%とすると、白色は視認度88%となっており、安全色でしかも風景に溶け込み膨張色となりボディも大きく見える。逆に黒色は視認度5%だが、ボディを引き締め、またシックに見える。

結論としては、明るい色の方が特に夕暮れ・夜間・霧の中では暗い色よりも2倍~8倍位の距離から視認されることがわかっている。最近、多くなったメタリックペイントは反射能力や見る角度で大きく差がでるので、視認度はわかりにくくなっていることにはご注意願いたい。

メルセデス・ベンツをドライブすれば、ここまできめ細かい知覚安全対策をしているのかと感心させられることだろう。着座位置が高いため前後の見通しも良く、死角も少なく、視界良好。しかも各々のピラーは頑丈で大変安全であり、本当の意味でメルセデス・ベンツはオーナードライバーズカーであると、特にヨーロッパでは認められているのだ。

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  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 1949年生まれで幼少の頃から車に興味を持ち、40年間に亘りヤナセで販売促進・営業管理・教育訓練に従事。特にメルセデス・ベンツ輸入販売促進企画やセールスの経験を生かし、メーカーに基づいた日本版のカタログや販売教育資料等を制作。またメルセデス・ベンツの安全性を解説する独自の講演会も実施。趣味はクラシックカー、プラモデル、ドイツ語翻訳。現在は大阪日独協会会員。
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