エアコンの調子が悪いときは早めに点検をしたい
2024年の本格的な夏はこれからです。気象庁によると、2023年の夏は記録的な暑さで、東京では年間の猛暑日日数が22日、真夏日日数は90日と、ともに過去最多。64日連続の真夏日(7月6日から9月7日まで)は過去最長でした。そこで気になるのがクルマのエアコンのコンディションです。いざ使用する時に、エアコンが冷えにくいといった不調が起きないように、事前にガスの補充をしておきましょう。
エアコンの不調の8割は、エアコンの冷媒ガスのリーク
梅雨から夏にかけては、エアコンフル稼働の季節。国産車のエアコンは本当に優秀で、窓を閉め切った炎天下では55℃を超えると言われる車内温度を、スイッチひとつで快適な温度まで下げてくれる。
ただしそれはエアコンが完調なときのみ。優秀なエアコンも経年劣化には勝てず、5年、10年と長期間使用しているうちに、徐々にエアコンの効きが弱くなってくることは珍しくない。こうしたエアコンの不調の8割は、エアコンの冷媒ガスのリークが原因だ。
代表的な冷媒ガスR134aは強力な温室効果ガスで、クルマを廃車にすることもあり、エアコンを整備するときは冷媒ガスの回収が義務づけられている。つまり本来、ガスが漏れたり、減ったりするのはNGとなっている。
しかし、エアコンの循環経路のつなぎ目にあるパッキンの劣化や、アルミやゴムの配管そのもののクラックなどが生じ、そこから微量の冷媒ガスが漏れる例は少なくない。このガス漏れで、冷媒ガスが減ってしまうと、エアコンの効きが悪くなるので、エアコンの効きが悪いと感じたら、まずガス漏れを疑ってみよう。
最初にいま入っているガスの量をチェック。冷媒ガスの量は、圧力計で測るイメージがあるが、圧力計では正確な量はわからない。というのも、冷媒ガスの規定封入量は「400g+0g-50g」といった具合に、重量で管理することになっている。
冷媒ガスが足りなければ冷えが弱く、多過ぎてもコンプレッサーが早めに止まり、ガス漏れの悪化やエアコンシステムの故障原因にもなるため、真空引きをしてグラム単位で重さを正確に計測することが肝心だ。減っている量が規定量の半分以下なら、そのままガスを追加したりせず、リークポイントを見つける点検が必要となる。
簡易な点検なら、無料もしくは数千円でできる
エアコンが効かない原因には冷媒ガスのリークのほか、コンプレッサーの故障やエバポレーターなどの疑いもあるので、効きが悪いと感じたら、とりあえず専門店で点検を受けるのが一番だ。その専門店というのは、エアコンに強い電装屋のこと。
自動車専門の電装屋はどの街にも必ず数軒はあるため、そこに相談してみるといい。20〜30分の簡易な点検なら、無料もしくは数千円と安価な設定が多いので、これを活用するのがベスト。
そして微量な冷媒ガスのリークなら、エアコンガスクリーニングで対処するのがいいかもしれない。これは冷媒ガスを真空引きしたあと、エアコン内部の水分や不純物を取り除き、再度冷媒ガスとエアコンコンプレッサーオイルも充填するサービス。カー用品店などでも行っていて、費用は1万円前後となる。
このコンプレッサーオイルの充填がひとつのキモで、冷媒ガスが漏れると、コンプレッサーオイルも一緒に漏れる。そのため、ガスがリークしたエアコンをそのまま使っていると、コンプレッサーが焼き付いて、さらに大事になることが多いので、早期の点検が重要だ。そして簡易点検以上の本格的な点検となると、2~3万円コースになる。
ここがひとつの分かれ目で、簡易点検+エアコンガスクリーニングで、とりあえず、ワンシーズン乗り切るか。それとも、あと4~5年乗ることを考えて、本格的な点検修理を依頼するかよく考えて行動しよう。一番ダメなのは、効きが悪いまま使い続けること(コンプレッサーの焼き付きなど、悪化する可能性が大)で、次が冷媒ガスの圧力だけ測って、安易に冷媒ガスを追加補充すること。
エアコンが不調なときは、早めに専門店に相談し、ガスリークテスターなどで点検してもらうのが最適解だ。