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BMW「Z1」が約640万円で落札…相場の半額となった理由とは? いま手に入れておきたいカルトカーは、実験的要素が満載でした

BMW「Z1」が約640万円で落札…相場の半額となった理由とは? いま手に入れておきたいカルトカーは、実験的要素が満載でした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams

ベルギー国内で歴史を重ねたZ1

このほど、ボナムズ「ONLINE」オークションに出品された愛すべきZ1は、1990年7月にベルギー東フランダース州ボルネムの「BMW ベルギー・ルクセンブルク」に新車として引き渡されたのち、1991年3月に同じく東フランダース州の都市、ローケレンの「Garage Siau」社を介して、ファーストオーナーのもとに納車された。

レッドやブルーなど、どちらかといえばビビッドなカラーリングが多いZ1の中にあって、この個体は「ウル・グリュン(Ur-grün:原初のグリーン)」と呼ばれるシックなグリーンメタリックが、新車の段階からセレクトされていた。

ドイツやフランスなどに高速道路網が広がるベルギーにデリバリーされたクルマらしく、この個体は最初の10年間で9万3000kmを超える走行距離を刻んだという。2008年には、2人目のオーナーが走行距離9万4000kmの時点でこのZ1を手に入れ、2011年に現在のオーナーに引き継がれたとのことである。

ボナムズ社の公式ウェブカタログを作製した時点での総走行距離は約11万1000kmであり、このZ1が初期には頻繁にドライブへと駆り出されたのち、今世紀に入ってからは注意深くマイレージを刻んできたことを示している。

エクステリアには軽い「パティナ(経年変化の痕跡)」が見られるものの、Z1の品定めでは重要項目となる合成樹脂製ボディパネルのコンディションは良く、明らかなクラックはどこにも見られないと説明されていた。

近年になって、消耗品であるタイミングベルトとウォーターポンプが交換され、その後の走行距離はわずか3000kmとのことである。

オークション落札者に添付される履歴ファイルには、「BMWクラシック」の証明書と「BMW適合証明書」、現在のベルギーにおける登録書類と2025年6月まで有効な「コントロル・テクニーク(Contrôle Technique:車検証)」、2001年まで刻印されたオリジナルのサービスブック、そのほか多数のインボイスが含まれているという。

現状におけるZ1の相場感からすれば、かなり安め

ボナムズ社では3万5000ユーロ~5万ユーロという、昨今の国際マーケットにおけるこのモデルの人気を考慮したエスティメート(推定落札価格)を設定した。さらに今回のオークションは、すべて「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」形式で行われるという前提条件にしたがって、この個体も「リザーヴなし」で出品されることになった。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、とくに対面型オークションでは確実に落札されることから会場の空気が盛り上がり、エスティメートを超える勢いでビッド(入札)が進むこともあるのがメリット。しかしそのいっぽうで、たとえ出品者の意にそぐわない安値であっても落札されてしまうリスクもある。

そして、2024年6月18日14時5分(現地時間)に入札締め切りとなった競売では出品者側の希望がかなったようで、エスティメートの範囲に収まる3万6960ユーロ、現在のレートで日本円に換算すれば約640万円で落札されることになった。

ただしこのハンマープライスは、現状におけるBMW Z1の相場感からすれば、かなり安め。いわゆる「ミントコンディション」の個体と比較すると、およそ半額に相当する。

それはやはり、この種のコレクターズカーとしては走行距離が少なくないこと、あるいは「パティナ」がそのまま残されていることなどが、マーケットでの評価に影響しているということなのであろう。

>>>BMWのすべてを知りたい人には「BMW LIFE」

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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