少年時代にゲームで知って憧れたTVR
1947年に創業した英国の自動車メーカーのTVR。アクの強いデザインが特徴的なメーカーで、個性的なスタイルがファンから支持されてきました。そのTVRの「タスカン」を「20世紀ミーティング」会場で発見。奇抜なスタイルはひときわ目を引くため、来場者も足を止めて興味津々の様子でした。真っ赤なタスカンのオーナーに愛車を紹介してもらいました。
個性豊かな珍しいクルマが数多く集まったなかでもひときわ目を引くタスカン
ヒストリックカー・イベントとしては比較的後発ながら、新潟の燕三条エリア恒例のイベントとして今ではすっかりお馴染みとなった感のある「20世紀ミーティング」。これはその名の通り、2000年までに生産されたクルマであれば車種や国籍、ジャンルを問わないというおおらかなイベントで、四輪に加えバイク枠も設けられているのも特徴だ。そんな20世紀ミーティングが2024年4月14日、「20世紀ミーティング 2024年春季」と銘打って開催された。その会場内で、奇抜なスタイルでひときわ目をひいていたのが、こちらの真っ赤なTVR「タスカン」である。
ロータスやマーコス、ローラ、エルヴァなど、第二次世界大戦後に生まれた同世代のスペシャリストたちと同様、TVRは英国の小規模なバックヤード・ビルダーとして1947年に創業、1950年代にはスポーツカー・メーカーとして「量産モデル」の市販を開始している。ちなみにTVRの社名は若き創業者のトレバー・ウィルキンソン(TREVOR)に由来するもの。独自のフレームとFRPボディに英国フォードなどの量産メーカーのパワーユニットやパーツを組み合わせる手法は他のバックヤード・ビルダーと同様だが、ワイドなトレッドと短めのホイールベース、アクの強いデザインが特徴的な歴代TVR各車は、独自の個性として一定数のファンに支えられてきた。
タスカンはオーナーが小学3年生の時にデビュー
会場で見つけたTVRタスカンは2004年式。バックヤード・ビルダーのほとんどはエンジンを大手メーカーからの供給に頼るのが一般的だが、TVRは数少ない例外として1994年から自社製エンジンを開発。このタスカンにも「Speed Six(スピード6)」と呼ばれる自社開発の直列6気筒3.6Lエンジンが搭載されており、そのパワーは1Lあたり100psに近い350psといわれた。
そんな異例づくしのスポーツカー、TVRタスカンのオーナーに早速お話を伺ってみることに。日本では比較的マイナーなTVRだと思いますが、このクルマを手に入れたのはどういったわけで?
「タスカンがデビューしたのは1999年、ちょうど私が小学校3年の頃ですね」
と話してくれたのは、1991年生まれというオーナーの小島彬彦さん。それにしてもその歳でTVRが気になるとはなかなかのマニア気質。
「その独特なデザインはゲームで知りました。また当時は新車が輸入されていたこともあり、子どもの頃から気になっていたんです。このタスカンは2004年式です。2019年に走行距離2万kmほどの中古をとあるショップで見つけ、それを手に入れることができました。オドメーターは現在3万5000kmほどなので、手元に来てから1万5000kmほど走ったことになりますね」
少年時代から気になっていたというタスカン。念願かなって実際に初めて試乗したみた際の印象は? と尋ねればひと言、「これはヤバい!」と。なるほど。いろいろな意味で、とにかくヤバかったわけですね。