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本当のエイジングボディのスズキ「フロンテ360」は85キロ巡航だってできる! サビだらけ…30年近く不動車だったままの姿を維持する理由とは

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循(NAGAO Jun)

もともと不動車だったが今では自走で遠方のイベントに参加するほど

ヒストリックカーのイベントに参加される車両といえば、一般的には綺麗に磨き上げられたコンディション上々のものが多い。ところがこちらのフロンテはご覧の通り。お世辞にもコンクール・コンディションとは言い難いが、じつはこのような個体こそ、得てして多くのエピソードに彩られていることも多い。そこでオーナーの町田輝実(まちだてるみ)さんにお話を伺うことに。

「もともとは北海道にあった個体らしいです。それを兄貴の知人が手に入れたんですが、それが40年くらい前の話です」

それがどう言った経緯で町田さんのもとに?

「その知人のもとに長いこと保管されていたのですが、ほとんど乗られることもなく、結局不動車になっちゃったんですね。で、彼が“もう自分ではクルマの面倒を見切れないからお前に任せたい”と譲ってもらいました」

町田さんはもともと二輪趣味をお持ちで、古いメグロなどを乗ったりいじったりしていたので、彼ならなんとかしてくれるのではとお兄さんの知人に見込まれた形だ。

「かれこれ30年近く不動車だったので、路上復帰にはだいぶ手間暇がかかりました。自分の手元に来てからもう22年目になりますかね。そのあいだ少しずつ不具合を直していき、機械的な部分のトラブルは一通り潰して、現在はとても調子はいいです」

という町田さんのフロンテ360。実際、イベント当日もはるばる山形から3時間ほどかけて自走での参加という。

「高速でも85km/hくらいの巡航なら問題ありません」

と、見た目の「くたびれ感」とは裏腹に、機械としては至って堅調な町田さんのフロンテ360なのである。

「最近では各地のイベントに参加するのがメインの乗り方ですが、このボディだけはこのままにしおこうと思っています。自分の手元にやってくる前から何十年も付き合ってきた、この個体だけの風情なので」

ショップが仕上げたレストア済みの美車とはひと味異なる、オーナーとクルマの長い歴史を感じる1台。人もクルマも、見た目だけで判断しちゃあいけません。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを一冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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