カーエアコンの燃費問題、実際はどうなの?
すでに30℃以上は当たり前のような2024年の夏、エアコンの需要が高まる時期がやってきました。夏のドライブは快適な車内温度で過ごしたいものですが、「クルマのエアコンで燃費は悪化する」といわれています。このご時世、少しでも燃費はよくしたいものです。では実際はどうなのか、自動車ライターの藤田竜太さんが教えてくれました。
エンジンパワーがコンプレッサーの駆動に若干消費されてしまう
梅雨から夏にかけて、エアコンほどありがたい機能はない。最近の猛暑で、クルマを炎天下に止めておくと、車内の温度は50℃以上になることも! この季節、エアコンが不調な1000万円、2000万円の高級車より、エアコンが効く軽トラの方が快適で、クルマとしての価値は高いといってもいいぐらいだ。
そんなありがたいエアコンだが、循環する冷媒を圧縮するためにコンプレッサーが必要で、多くのクルマはそのコンプレッサーをエンジンのクランクシャフトにつながったVベルトで駆動している。そのため、エアコンをONにすると、若干エンジンパワーがコンプレッサーの駆動に消費されてしまうのは事実。
それゆえ、昔は「エアコンをつけるとパワーが喰われる」とよく言われた。では実際、エアコンをつけるとどれくらいエンジンパワーはロスされてしまうのか?
下手をすると約1割もパワーが奪われてしまう
乗用車のエアコンは、2.5畳の広さに対し、最大5kWぐらいの能力といわれているので、5kW=6.8psの損失があり得る。軽自動車だと上限64psという自主規制があるので、下手をすると約1割もパワーが奪われてしまうので大ごとだ! 日産R35「GT-R NISMO」のように600psもあれば、1%のロスは誤差の範囲でほとんど体感できないだろうが……。
いずれにせよ、エンジン出力が低くて、車重の重たいクルマほど、エアコンによるパワーロスの影響は大きい。スポーツカーでも、トヨタ「AE86」やユーノス「ロードスター」は、エアコンのON/OFFでのパワー感に大きな違いがあった。
もっとも、エアコンが最大出力で回っているのは、車内が高温の乗りはじめだけで、車内が冷えて温度が安定してくれば、パワーロスも1.5~2.0ps程度で収まるはず。