形は同じだけどメーカーは違う!? 知ると面白いOEM車のあれこれ
たとえば、ダイハツ「ロッキー」とトヨタ「ライズ」や、スズキ「ハスラー」とマツダ「フレアクロスオーバー」のように、同じデザインに見えるけど装着しているメーカーのエンブレムも車名も違う。そのような車両はOEM(Original Equipment Manufacturing)車と呼ばれ、ある会社が開発製造した車両を、ほかの会社が自社ブランドの車両として販売しているものを指します。今回は、アメリカ仕様を楽しめる7人乗りの車両を探した結果、日産「NV200」ではなく、そのOEM車である三菱「デリカD:3」へと辿りついた長木賢太さんの物語です。
アメリカンなスタイルで、家族で乗るための7人乗りを探し求めた
2023年12月3日に福岡県遠賀郡芦屋町にある芦屋海浜公園で開催された「第8回ストリートインターナショナルin九州 2023」は、アメリカをイメージした車両が集まるイベントだ。そこで出会った長木賢太さん(42歳)の愛車は日産「NV200バネット」にUS純正バンパーを装着した車両と思いきや……その正体は、三菱「デリカD:3」! OEM車として販売されていたことを正直忘れてしまうようなレベルの超希少車だった。
「ドリフトからはじまったクルマ人生ですが、周りの友人はアメリカンなスタイルや、妻も含めてシャコタンなどのドレスアップカー乗りが多かったんです。そんな影響もあり、自分もUS仕様のドレスアップに興味を持ち、R32型スカイラインの4ドアでドリフトをしながら、日産Z12型キューブでUSスタイルも楽しんでいました。
しかし、家族が増えたため大人数で乗れる車両が必要となったんです。もともと、NV200が発売された当初から興味があったこともあり、これをファミリーカーにできないものかと考えはじめたのがこのクルマを選んだきっかけでした」
デリカD:3には望んでいたオプションが完備していた
たしかにNV200は、アメリカでも「NV200コンパクトカーゴ」として販売されているため、日本でUS仕様を楽しむことは十分に可能だ。しかも、ワゴンであれば7人乗り設定もある。しかし、車両を探していた当時の設定では、リアクーラーやリアの小窓などの有無などが日産ではオプション設定ということで、なかなか希望の個体に巡り合えなかった。
ところが見方を変えてデリカD:3を調べたところ、長木さんが望んでいたオプションが完備され、7人乗りのワゴンとして販売されていることを発見。それが、この個体を購入する大きな理由となったのだった。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
ドリ車を売ることを約束し、家族を説得
「家族からは、なんでこのクルマなの? と言われました。でも、奥さんはドレスアップなどを楽しんでいたユーザーだったので、スカイラインを売ることを条件に理解してくれたのです。ちょっと寂しかったのですが、ドリフト用の車両はかなり需要があり人気があったので、予想以上に高く売れました。そのおかげでこのカスタム代と、家族旅行の費用が捻出できました(笑)」
現状の仕様は、バンパーとグリルをNV200のUS純正へと変更。また、サスペンションとホイールを変更することで、ルックスを整えた。しかも、単純に低さを求めたのではなく、乗り心地を考慮した程よい低さがテーマ。
そのため、フロントサスペンションは愛用していたキューブに装着していたRS-R製を流用しつつ、それではストローク量が足りないため、カートリッジを日産「セレナ」用へ変更。リアもリーフの入れ替えなどで低さと乗り心地のバランスを追求している。長木さんはドリフトを長年楽しんできただけあって、乗り味の追求にも余念が無いのだ。
ベース車が珍しいこともあり、声をかけられる機会が増えた
「ワゴンとバンではリアのリーフサスペンションの厚みが違うので、多少は乗り心地が違うようです。いろいろとリアのセッティングを試していますが、まだ満足していません。ほかには、元がバンのため遮音性が低いので、内装にスポンジを追加して車内の静粛性をできるだけ高めています。ハンドルポジションに違和感があったので、じつは下方向に2センチほど下げるなど、見た目よりも快適性を重視した改造を追求しています」
今回のようにイベントにも参加するようになり、ベース車が珍しいこともあって声をかけられる機会が増えたそう。それを奥さまもお子さんも喜んでおり、今ではこの「NV200コンパクトカーゴバン風」のデリカD:3は、長木家の立派なファミリーカーとして認められているのだった。
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