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BMW「M3」のライバル「190E 2.5-16 エボリューションII」が約4040万円で落札! メルセデス・ベンツらしからぬ出で立ちはどうして?

25万2500ユーロ(邦貨換算約4040万円)で落札されたメルセデス・ベンツ「190E 2.5-16 エボリューションII」(C)Courtesy of RM Sotheby's

まだまだ価値が上がっていく傾向にある

2024年5月31日〜6月1日にRMサザビーズがカナダ・トロントで開催したオークションにおいてメルセデス・ベンツ「190E 2.5-16 エボリューションII」が出品されました。500台が生産されたうち、402台目に製作された1台で、現在までの走行距離は5万4440kmと少ないです。気になるハンマープライスをお届けします。

レースで勝つためにバージョンアップ

派手なエアロパーツの存在に慣れた現在でも、メルセデス・ベンツ「190E 2.5-16 エボリューションII」のボディデザインは、まさに戦うマシンそのものの姿とたとえることができる。1990年に発表された時点で、比較的保守的な傾向の強かったメルセデス・ベンツのカスタマーにとって、それはどのような存在に映っただろうか。ある者はそれから顔を背け、またある者はメルセデス・ベンツのファミリーにそれが属することに否定的な意見を唱えていたに違いない。190E 2.5-16 エボリューションIIとは、それほどセンセーショナルなモデルだった。

そもそもエボシューションという言葉が証明しているように、モータースポーツの世界における正常進化モデルにほかならなかった。スタート地点にあったのは、1984年3月にグループNのホモロゲーションを取得した「190E 2.3-16」で、これはメルセデス・ベンツとコスワース・エンジニアリングの共同開発によって誕生したモデルだ。実際にはグループAのディビジョン2で1986年からレースデビューしセンセーションを巻き起こすが、エンジン排気量が2.3Lであったこと、そして車重の重さが影響して、残念ながらタイトルを得るには及ばなかった。

そこでメルセデス・ベンツが考えたのが、この190E 2.3-16をベースとしたエボリューションモデルの開発だった。当時グループA規定の10分の1、すなわち500台の生産を行うことで、エボリューションモデルとしてのホモロゲーションが可能だったレギュレーションを活用して、1986年に「190E 2.5-16 エボリューション」、さらに1990年には同「エボリューションII」がリリースされた。正常進化型だが、メルセデス・ベンツは1992年になってようやくタイトルを獲得することに成功している。

この時タイトルを手中に収めたエボリューションIIは、最初にも触れたとおり、まさになりふり構わぬ造形のエアロパーツを装備し、搭載エンジンも前作のエボリューションIと同様の2.5L仕様ではあるものの、最高出力をさらに235psにまで増強すると同時に高回転型へとチューニングを変更。ほかにはギア比やアジャスタブルサスペンションのセッティング、4ピストンのブレーキなどの改良も施された。当然このエボリューションIIもグループAのエボリューションモデルであるからロードモデルの販売は義務付けられており、メルセデス・ベンツはそのミニマムの台数である500台を世界各国の市場で販売した。

>>>メルセデスの専門誌「only Mercedes」のvol.220を読みたい人はこちら(外部サイト)

保管状況はきわめて良好

今回RMサザビーズのモナコ・オークションに出品された190E 2.5-16 エボリューションIIは、1990年の5月にラインオフしたモデルだ。製造番号は402、最初の仕向地はフランスのローヌ渓谷にあるヴァランスのロイヤル・ガレージ・メルセデスであるという記録が残されている。

ブラックレザーのインテリアに、ブルーブラックメタリックという、このモデルに専用のカラーコンビネーションに身を包んだ402号車には、ほかにもエアコンや電動サンルーフ、シートヒーター、ベッカー・グランプリ製のカーステレオ、ボッシュ製のカーテレフォン・システムなどが装備されている。

そしてこのモデルは、最初の6年間で3万4000km近くを走行し、その後2017年に今回の出品者へとそれを売却する。現在のオドメーターが示す走行距離は5万4440km。そして保存状態はきわめて良好と、RMサザビーズのレポートにはある。

W201世代の究極の発展形ともいえる190E 2.5-16 エボリューションII。RMサザビーズの示した20万(邦貨換算約3470万円)~28万ユーロ(邦貨換算約4860万円)というエスティメート(推定落札価格)に対して、落札価格は25万2500ユーロ(邦貨換算約4040万円)という数字に落ち着いた。コンディションが維持されれば、これからまだまだその価値が高まりそうな予感がする。そのような印象を抱くことができた1台であった。

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