一度覚えたら忘れられない音楽由来の車名
自動車の車名は、そのクルマのキャラクターを表す重要なポイントです。発音や意味、覚えやすさといったキーワードもネーミングポイントになります。そんな中で、ひと昔前によく使われていたのが音楽用語を取り入れたクルマ。え? あのクルマも? と思うようなモデルもありました。
クルマと「音」は切っても切れない関係
ハイブリッド車やEV(電気自動車)が普及して、しみじみ感じるのは、クルマもひとつの楽器で、クルマを走らせることは、その演奏でもあったんだな~ということ。うるさいよりは静かなほうがいい。それでも心地よい音もクルマの魅力だったはずだ。またドライブには、音楽が欠かせないと考える人も多いだろう。そんなクルマと切っても切れない、「音」との関係から、今回は音楽用語由来の車名をピックアップしたので紹介する。
ホンダ プレリュード
ジャパンモビリティショー2023で話題になった1台が、ホンダの「プレリュード コンセプト」。プレリュードの意味は「前奏曲」。初代はパッとしなかったが、2代目以降はブームとなる、デートカーの走りとしては、まさに前奏曲、先駆けだった。4代目以降は、コンセプトが大幅に変わり、2001年5代目で生産終了……。
しかし、初代は電動サンルーフが標準装備、2代目は日本初のABSの設定(オプション)、3代目は世界初の機械式4WSと、名前に負けない先進性のあるクルマだった。はたして6代目の復活は……?
日産 フーガ
日本語の「風雅」が名前の由来と思われているかもしれないが、もうひとつ、優美さとダイナミックさが調和している状態を表す、音楽の種類「フーガ(Fuga:イタリア語、Fugue:英語)」の意味もある。
スズキ アルト
「街は、アルトで歩こう」。こんなキャッチコピーで登場した初代アルト。新車価格47万円の低価格もニュースだった。「アルト」は音楽用語で女声の最も低い声域を指している。スズキとしては「アルト」=イタリア語で「秀でた」「優れた」の意味から命名したとのこと。
マツダ シャンテ
1972年に登場したシャンテ。社名は、フランス語で「歌う」「歌おう」といった意味から命名。開発当初は、シングルローターのロータリーエンジンが搭載される計画だったが、量産車には空冷2気筒2ストロークエンジンの360ccエンジンが搭載された。
しかし、RE雨宮が12A型2ローターターボエンジンに換装したチューニングカー、「REシャンテ」を製作し、世間をあっと言わせた!
日産 マーチ
「マーチ(March)」は、英語で「行進曲」の意味。一般公募によってネーミングされた。日産のリッターカークラスの元祖となる、ハッチバックコンパクトカーで、初代はジョルジェット・ジウジアーロがベースデザインを担当。のちに、マーチターボやマーチR、マーチスーパーターボなどの発展モデルも登場した。パイクカーの「Be-1」、「パオ」、「フィガロ」は初代マーチがベースの兄弟車だ。
2代目には、電動ソフトトップの「マーチカブリオレ」、3代目はワンメイクレースのマーチカップなども行われた。
ホンダ ビート
ホンダのS660のルーツに相当する軽自動車のミッドシップスポーツ。量産ミッドシップ車で、フルオープンモノコックボディを採用したのは、このビートが世界初となる。ボディデザインは、当時からピニンファリーナの流れを汲んでいると指摘され、完成度の高いフォルムも評判だった。
エンジンは直列3気筒のSOHC、ターボではなくNAの660ccだったが、ホンダらしく(?)独立3連スロットルが奢られ、8500回転まで回ることもあり、なかなか勇ましいサウンドが味わえた。
「ビート」の車名は、英語で(ジャズなどの)強いリズム、心臓の鼓動などを意味している。ホンダでは「風を切るときめき、走らせる楽しさを響かせるクルマであることをめざし、“BEAT”と命名しました」と発表。
このほかホンダでは、「バラード」や、「コンチェルト」、「ジャズ」(日本名・フィット)など、音楽用語由来の車名を好む傾向があった。