走行距離が短いのに安く販売されている中古車は疑った方がいい?
中古車を探していると、走行距離が2000〜3000kmと短いクルマが販売されていたり、走行距離が短いのに相場より安く販売されているクルマを稀に見つけることがあります。このような車両には、どういった理由があるのでしょうか? 自動車評論家の小鮒康一さんが気になるギモンに答えてくれました。
相場よりも安いクルマがごく稀に存在している
よほどの限定車や価値のあるクラシックカーなどでない限りは、基本的に新車価格より安い価格で購入することができるというのが魅力の中古車。新車のときは手が届かなかった憧れのクルマも、数年経てば手の届く価格になっていることも少なくない。そんな中古車はおおむね新車からの経過年数と走行距離に応じて価格が付けられており、当然ながら古くなればなるほど、そして走行距離が増えれば増えるほど安くなるというのが基本となる。
ただ、中には登録から数カ月、走行距離が数千kmという中古車が売られていることもある。その中にはほぼ新車のような走行距離のものもあり、さらに相場よりも安いものもごく稀に存在しているのだが、こういった車両にはどんな理由があるのだろうか?
よく言われがちなのが、事故や水没などの重大な瑕疵(かし)を隠して売っているのでは? ということだが、基本的にしっかり看板を掲げて大手中古車情報サイトなどに在庫情報を掲載しているようなお店であれば、そういった怪しい売り方はしていないと考えていいだろう。
というのも、そういった方法でわずかな利益を上げるよりも、それが明るみになったときのペナルティや経営に与えるダメージの方がはるかに大きいからだ。
納車前に事故を起こして加修済となっているクルマも
また、中古車情報サイトなどに掲載されている価格は安いのに、実際に購入しようと思ったらなんだかんだとオプションが追加されて総額がハネ上がり、「オプションを装着しないと購入できません」というようなあくどい方法をとっていた業者も残念ながら存在していたが、現在は総額表示が義務化されているため、こういった業者は減少傾向にある。ではなぜ相場より安い中古車が存在しているのかというと、理由はさまざまだが、中には納車前に事故を起こして加修済となっているものがある。
工場で生産された車両はユーザーの手に渡るまでに輸送を経るわけだが、その途中で何らかの事故に遭ってしまい、修理されているというものだ。事故の大きさは大小あり、修復歴となる大きなものから、修復歴とはならないものまで幅広いが、そういった車両をそのまま納車するわけにもいかないため、やむを得ず修理したうえで中古車として販売するケースがあるのだ。
車種によっては中古車として販売するしかない場合もある
また、保管中に運悪く雹害(ひょうがい)を受けてしまうケースもあるが、こちらはすべてを修理するとかなりの金額となってしまうことから、「雹害車」として現状のまま相場より安い価格で販売されることもある。
それ以外のケースでは、あまりないことではあるが、新車の発注ミスやキャンセルとなってしまった車両も安く販売されることがある。もちろん人気車種であれば、ほかの納車待ちユーザーに権利を譲ることもあるが、グレードやボディカラー、オプションなどがすべて一致しなければならないため、車種によっては中古車(未使用車)として売るしかない場合もあるのだ。
そのほかのケースでは自社の代車や展示車、試乗車として使用していたものをそのまま中古車として販売するということもあり、こちらは業者オークションなどで仕入れるコストが発生していないため、その分売価を安くすることができる。しかしディーラー系中古車店などではあまり大幅に安くしてしまうと、他の在庫車との価格のバランスが崩れてしまうため、そこまでの価格差はあえてつけない場合も少なくない。
販売店に「安い理由」を聞くのが一番手っ取り早い
今回は相場より安い中古車が存在する理由についてお伝えしてきたが、どうしても気になるのであれば、販売店に「安い理由」を聞くのが一番手っ取り早く確実な方法だ。
もしその質問に即答できないようであれば、もしかしたら怪しい理由が隠されている可能性もあるので、その場合は購入を見送るという選択肢を選ぶことも必要だろう。