2024年も優勝を目指してチャレンジ
車いすドライバーとして活躍する青木拓磨選手が、参戦開始18年目、15回目の挑戦となる「アジアクロスカントリーラリー2024」に向けて準備を進めています。2023年シーズンはインドネシア籍のチームから出場し、みごと悲願の初優勝を遂げました。FIA(国際自動車連盟)公認のクロスカントリーラリーで障がい者が総合優勝をしたのは史上初のことであり、大会史上初となる同チームによるワン・ツー・フィニッシュも達成していました。
青木拓磨が初めて勝者という立場で挑む
東南アジアを中心に開催されるFIA・FIM公認国際クロスカントリーラリーのひとつである「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)」は、1996年からスタート。山岳地帯やジャングル、沼地、海岸、砂漠、プランテーション、サーキットなど、アジアの特徴ある地域、路面状況、自然、気候の中で毎年8月に開催されてきた夏の恒例イベントです。毎年コース設定も通過国も変わるのですが、2024年はタイ国内のみでの開催が予定されています。
青木拓磨選手は、伝説のライダーといわれている「青木3兄弟」の次男。幼少期に兄弟とともにミニバイクレースに参戦を開始し、1990年に国内ロードレースへデビュー。1995~1996年の全日本ロードレース選手権スーパーバイク・クラスのタイトル連覇後、1997年に2輪ロードレース世界選手権(WGP GP500クラス)に参戦。
非力なマシンでの参戦ながらシリーズランキング5位を獲得。そして翌1998年シーズン、ついにライバルと同じ戦闘力のあるマシンを手にし、タイトル獲得も夢ではない、とささやかれていた開幕前に行われたテスト中の事故で下半身不随となってしまいました。
事故後はその活動フィールドを4輪のレース界に移し、車いすドライバーとして活躍。これまでにさまざまな挑戦を重ねてきており、ル・マン24時間レースにも出場経験を持っています。その青木選手がレースのフィールドに戻るきっかけとなったのがAXCRでした。この参戦をきっかけにダカールラリーにも挑戦することにもつながりました。
TOYOTA Gazoo Racing INDONESIAから参戦
2023年のAXCRでは、それまではTakuma-GPという青木拓磨のチームからの参戦でしたが、TOYOTA Gazoo Racing INDONESIA(TGRインドネシア)からの参戦となりました。プライベート・チームながら3台体制を取っており、3台とも速いドライバーで構成されていました。その中で無事に青木選手は優勝を手にしたわけですが、今回もそのラインアップは変わりません。
ゼッケン101をつける青木選手のマシンには、コ・ドライバーにはイティポン・シマラック選手とソンウット・ダンピパットラコーン選手(ともにタイ)が乗り込みます。102号車には2023年準優勝のトゥバグス・アディ・モレンシャディ選手(インドネシア)とジャトゥポーン・ブラキッパチャイ選手(タイ)、そして塙 郁夫/染宮弘和組は115号車という布陣となります。
ちなみに青木号については2023年の車両を使用するのではなく、今回新車を投入することとなりました。その新車を製作するのは、日本ではなく、チームの本拠地のあるインドネシア。チームスタッフは何度かインドネシアに通って実際の車両のシェイクダウンを行っています。
青木選手は参戦に向けて、次のようにコメントしました。
「T1Dクラスで総合優勝したので、今回は市販車クラスであるT2A-Dクラスに参戦します。昨年トゥバグス選手がT2で総合2位でしたから、それを上回る結果を目指します」
第29回アジアクロスカントリーラリーは2024年8月11日(日)にタイ南部のスラタニでスタートセレモニーが行われ、17日(土)の北部のカンチャナブリのゴールまで、7日間で約2000kmを走破することになります。