トヨタ・ツインカム一族の中でも特別な152E型エンジン
「当時TRDがモータースポーツ専用に3Kや2T‐G、18R-G型エンジンをベースに4バルブ・ヘッド化したスペシャル・エンジンを開発してレースやラリーに投入しました。18R-G型をベースに4バルブ化されたものが、この152E型エンジンです」
1978〜1979年頃に2T-G型エンジン搭載のトヨタ「カリーナ GT」を手に入れたのが、トヨタ・ツインカムとの出会いだったという吉川さん。かねてからモータースポーツが好きで、自身もレースにも参戦していたという吉川さんが、さる友人から「あの、152E型エンジンが手に入る」という話を聞いたのが8年ほど前のこと。
「トヨタ・ツインカム一族の中でも特別なものですから、ともかくエンジン単体でも欲しいと思い入手しました」
6年かけて製作し、サーキットも走る
「ヘッドまわりはもとより、クランク、コンロッド、ピストンなども別物です。エンジン単体を手に入れた2年くらい後に、それを載せるためのセリカを手に入れまして、6年くらいかけて仕上げたのがこのクルマです。そんなわけで、クルマは最近仕上がったばかりなんですよ」
吉川さんのセリカに搭載された152E型は、もともとドライサンプだったものをウエットサンプにし、キャブはソレックスのφ50mmと大口径。トランスミッションもトヨタ「アルテッツァ」用の6速マニュアルトランスミッションに換装している。
セリカ自体の外装は、軽量化のためにボンネットやトランク、フェンダーはFRP製。左右のドアだけは万一の際の強度を考えてカーボン製で、室内にはロールバーも備える。会場に佇んでいるだけでただならぬオーラを醸し出していたのも納得なのだった。
「サーキット走行会の時にはスリックタイヤに履き替えています」
とにこやかに語る吉川さん。往年のトヨタ・ワークスの気合を今に伝えるこのスペシャル・セリカとそのオーナーは、どちらも見た目の雰囲気以上に「ホンモノ」なのである。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)