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もっともF1に近いフェラーリ「F50」が約7億円弱で落札! 349台限定のスペチアーレはリザーヴなしでも高値安定の結果でした

もっともF1に近いフェラーリ「F50」が約7億円弱で落札! 349台限定のスペチアーレはリザーヴなしでも高値安定の結果でした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

モナコで長年を過ごしたヒストリー

このほど2024年5月31日〜6月1日に開催された「The Dare to Dream Collection」オークションに出品された、曰く「ファビュラスな」F50は、シャシーNo.106400。プロダクションプレートでも確認できるように、F50としては182番目に製造された個体であり、1996年7月に製造者証明書が発行された。そのコピーは、販売に際して添付されるファイルに保管されている。

新車時代の登録証や販売明細書、フェラーリの世界的権威マルセル・マッシーニ氏によるヒストリーレポート、「フェラーリ・クラシケ」のレッドブックとそれに対応する鑑定書を含む詳細な資料ファイルによると、この美しいヨーロッパ仕様のF50は1996年7月に組み立てを完了し、「ロッソ・コルサ」のボディ、「ネロ(黒)」のレザーインテリア、そして赤のシートインサートで仕上げられたという。

そしてベルギーの有名な老舗ディーラー「ガレージ・フランコルシャン」を介して販売されたこのフェラーリは、1999年にモナコへと移り住んだ地元のエンスージアストへと譲渡。その後9年間は、モナコのフェラーリ正規代理店「モナコ・モーターズ」によって定期的に整備されていたことがわかっている。

しかし2010年の初頭、モナコのオーナーはフェラーリ・スペシャリストとして世界的に評価されている、英国「DKエンジニアリング」社にF50を売却し、同社はそののち4年間にわたり、断続的にこのクルマを整備し続けた。

2015年1月、シャシーNo.106400は「The Dare to Dream Collection」に売却。同コレクションのオーナー兼キュレーターであるマイルズ・ナダル氏が、このクルマの4人目の個人オーナーとなった。その半年後には「フェラーリ・クラシケ」からレッドブックが発行され、ナンバーマッチするシャシー/エンジン/トランスアクスル、そしてオリジナルのボディが継続して残されていることが証明され、このF50が高いオリジナリティを保持していることが保証されるに至った。

フェラーリ「F50」でさえリザーヴなしで出品

「The Dare to Dream Collection」で10年近く一貫して大切に保管されてきたシャシーNo.106400は、オークションの公式WEBカタログ作成の段階で2万910kmのマイレージを表示しており、ハードトップ用の純正フライトケース、オープン時に使用するハードトノーとロールバー、非常用のソフトトップと専用バッグ、純正ツールキット、取扱説明書、「スケドーニ」社製ラゲッジセット2個が付属されていた。

今回の出品に際して、サザビーズ北米本社では「フェラーリのなかでも賞賛される“ビッグファイブ”モダン・ハイパーカーのコレクションの隙間を埋めたいと切望するコレクターにはうってつけである。」という謳い文句を添えて、380万ドル(約6億1440万円)~450万ドル(約7億2760万円)という自信たっぷりのエスティメート(推定落札価格)を設定した。

なお、今回の「The Dare to Dream Collection」オークションは、すべて「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」形式で行われるというのが前提条件。したがって、たとえ入札が希望価格に到達しなくても落札されてしまう「リザーヴなし」で出品されることになっていた。

この「リザーヴなし」は、通常では比較的安価な出品ロットで会場の機運を盛り上げるために行われる措置なのだが、明らかな高価格が見込まれるこの種のフェラーリではあまり見られないものである。

それだけに「お約束」ともいえそうなリスクも充分に危惧されたのだが、いざ競売が終わってみれば、エスティメートの想定内に収まる424万ドルに到達。

つまり日本円に換算すると約6億8200万円という、たとえ現在の円安為替レートを加味して考えても、驚いてしまうほかないハンマープライスがたたき出されることになったのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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