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山中に放置された「ランドローバー」をレスキュー! 所有して25年ほどになる個体はアルミ地肌むき出しでも「ノープロブレム!」

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循(NAGAO Jun)

山中で放置されていた個体を前オーナーがレスキュー

「この個体は、前のオーナーが1990年頃に中部地方の山中で放置されていたものをレスキューし、それを2000年頃に私が譲り受けました。車検を切らしていた時期もありましたが、かれこれ4半世紀ほどの付き合いになりますね」

第二次世界大戦直後のイギリスは鉄材の供給が不足していたこともあり、アルミパネルとリベットでボディが造られたランドローバー。その構造は車体が軽くパネルが錆びないという利点の反面、鉄のフレームとアルミのパネルという異なる金属同士の結合部に「電蝕」と呼ばれる腐食現象が起きる心配がある。

そこで小林さんは、船舶などに使われている小さな防蝕亜鉛板をエンジンルーム内に取り付け、電蝕を予防するという細やかな配慮を施している。

ボディはアルミの地肌をそのまま活かしたスタイルに

「もともとのボディは緑色だったのですが、アルミボディがわかるように現在はアルミの地肌をそのまま活かしています」

という小林さん。ご存知の通りアルミのパネルは放っておく徐々に酸化して白っぽくなってしまうため、このように綺麗なアルミの輝きを保つにはマメな手入れが欠かせないはずだ。

その綺麗なボディには、なにやら文字が書かれた小さなステッカーが。見れば「NO ABS.」、「NO Airbags.」、「NO Electronic Injection.」、「NO Power Steerings.」、「NO Air Conditioner.」……とあり、最後に「NO Problems!」と締めくくられている。そしてボディ後部には「LAND ROVER SERIES ONE CLUB」の文字が白く染め抜かれた旗が掲げられている。

「これは英国のランドローバー シリーズワン・クラブの旗です。私、日本人で唯一のそこのクラブ員なんですよ」

と語る小林さんの寄り目のランドローバーにかける想いとその洒落っ気は、本国の愛好家たちと勝るとも劣らないのだった。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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