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もはや約2.8億円だとお安く感じてしまう!? ブガッティ「ヴェイロン16.4」のファーストオーナーは有名なメディア王、サイモン・コーウェルでした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

新車時を大幅に上回るプライスで落札!

新車として発売された当時、100万ドルをはるかに超える(2005年のショーデビュー時の日本国内販売価格は1億6300万円)超高額なプライスタグが掲げられたブガッティ ヴェイロンは、ごく一部の裕福な人々だけに許されたクルマだった。

2024年5月31日〜6月1日に開催されたRMサザビーズの「The Dare to Dream Collection」オークションに出品されたヴェイロン16.4も例外ではなく、ファーストオーナーとなったのはイギリスの著名なメディア王、サイモン・コーウェルだった。2008年初頭にビバリーヒルズのショールームで購入されたコーウェル氏のヴェイロンは、ロサンゼルスの煌びやかなセレブリティたちの間で、あっという間に知れ渡ってゆく。

2011年に、ワーナー・ブラザースの人気トーク番組『エレン・デジェネレス・ショー』(邦題「エレンの部屋」)に出演した際、コーウェルは自身の愛車への熱中ぶりをこと細かに熱弁。ヴェイロンを初めて見たときには「手招きされた」と述べるいっぽうで、定期的にショーファーをつけていたため「自らこのクルマのステアリングを握ったのは2回だけだった」と皮肉まじりに語っている。

2014年に「The Dare to Dream Collection」へと譲渡するまでの間、コーウェル氏のもとでは1000マイル(約1600km)強を走行していた。このヴェイロンは、「The Dare to Dream Collection」の10年にわたるキュレーションのもと、スペシャリストによる手入れを受けており、メンテナンスの請求書やコーウェル氏が所有していたことを示す書類のコピーが添えられている。

そして、オークション公式ウェブカタログ作成時点での走行距離は、わずか3780マイル(約6050km)に過ぎない。

クラシック・ブガッティの愛好家も魅了しそうなカラーリングと、セレブリティの出自を併せ持つこのオールブラックのヴェイロンは、コレクターのガレージに荘重な雰囲気を添えることだろう。100年前のブガッティと同様、ブガッティ ヴェイロンは現代の自動車業界においても神話に近い存在なのだ。

驚異的なハンマープライスを叩き出した

今回の出品に際して、RMサザビーズ北米本社では「シンプルにいえば、史上最高のクルマなのだ」というジェレミー・クラークソンの言葉を借りるとともに、150万ドル~175万ドルというエスティメート(推定落札価格)を設定した。

また、今回の「The Dare to Dream Collection」オークションは、すべて「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」形式で行われるというのが前提条件だった。したがって、たとえ入札が希望価格に到達しなくても落札されてしまう「リザーヴなし」で出品されることになっていた。

この「リザーヴなし」は、通常のオークションでは比較的安価な出品ロットで会場の機運を盛り上げるために行われる措置なのだが、明らかな高価格が見込まれるこの種のハイパーカーでは、あまり見られないものである。

それだけに「お約束」ともいえそうなリスクも充分に危惧されたのだが、いざ競売が終わってみれば、エスティメート上限をわずかながらオーバーした176万5000ドルに到達。現在の円安為替レートで日本円に換算すると、じつに約2億8050万円という驚異的なハンマープライスとなった。

ヴェイロン16.4は、当初300台の限定生産を予定していながらも、最終的には派出モデルも合わせて約450台が生産されたといわれている。つまり、この種のハイパーカーとしてはかなりの台数が作られており、とくにスタンダードモデルでは希少価値もさほど高くないとも思われる。

それでも、依然としてこれだけの高評価を受けているさまを見ると、やはりこのモデルが「ハイパーカー」というジャンルのあり方を確定したアイコニックなモデルであることを、今いちど実感させられてしまうのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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