横置き8速DCTの素晴らしさ
まずはピットロードを「チッタ」、いわゆるエレクトリック・モーターの駆動力のみで走る、ゼロ・エミッション走行でスタートするが、それでも加速感は十分に魅力的で、早朝や深夜などの住宅街でドライブするには、これは大いに役立つモードといえる。
コースインすると、テストドライブを先導するインストラクターから、「ハイブリッド」へとドライブモードを変更する指示があった。ここでV型12気筒エンジンは始動し、レヴエルトはさらに猛獣の片鱗を見せ始めるのだが、まず印象的だったのは、今回新たに横置き式となった8速DCTの出来栄えの素晴らしさだ。これまでランボルギーニが横置きギアボックスを採用したのは、あの「ミウラ」と「エッセンサSCV12」の両モデルのみ。センタートンネル内からトランスミッションが消えたことで、例のリチウムイオン・バッテリーパックも、重心の低さを損なうことなく搭載することができるようになったわけだ。
シフト時のショックはほとんど感じられないほどに小さい。マニュアル・シフトはその先の「スポルト」、「コルサ」モードに与えられた特権といえるが、さらにバッテリーモードで「パフォーマンス」を選べば、いわゆるレヴエルトのフルパワーが満喫できるということになる。このバッテリーモードにはほかに、「リチャージ」などが設定されており、この先でチッタ・モードを使いたい場合などには、それを選択しておけば最大効率でバッテリーは充電される。
それにしても、なんと素晴らしいスムーズさとレスポンスを感じさせるV型12気筒エンジンなのだろうか。エンジンスピードがレッドゾーンに至ったことに気づかないほどに、このV型12気筒エンジンはマナーの良い動きに終始するのだ。
いまだかつてない感動の走り
これまで数々のV型12気筒モデルに試乗したが、これほどの感動を得たエンジンも珍しい。おそらくさらなるトラクションが必要な場面では、エレクトリック・モーターからも十分なパワーが4輪に伝達されるのだろう。タイトなコーナーからの立ち上がりでも、そのクイックな動きにはまったく不満を感じることはなかった。
そういえば、試乗を始める前に感じていた怖さはどこへ消えてしまったのだろうか。その抜群のコーナリングマナーや乗り心地を味わっているうちに、それは完全に過去のものとなってしまったようだ。最高で1015psのパワーをカスタマーに提供するレヴエルト。それは先進的なパワーユニットとその制御、強靭かつ軽量なシャシー、さらにはエアロダイナミクスに富むボディや、より快適になったキャビンの設計など、さまざまな要素によって成り立った完璧なるスーパースポーツだったのだ。
ランボルギーニでは現在、「ウラカン」の後継車となるスモールモデルの開発も進行中という。CEOのステファン・ヴィンケルマンをリーダーとした「コウ・タウリ」戦略は、これからまだまだ多くの驚きを、我々に与えてくれるに違いない。