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「押しがけ」できる? 旧車オーナーなら知っておきたい「バッテリーが切れたときのエンジン始動」の方法を伝授します

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TEXT: 近藤暁史(KONDO Akifumi)  PHOTO: AMW

  • 押しがけのやり方としては、クラッチを切った状態からスタート
  • キーをONにして待機
  • クラッチを切った状態でギアを1速に入れ、後ろから押してもらう
  • タイヤがしっかり転がったら、クラッチを繋ぐとエンジンがかかる
  • 最近のプッシュ式スイッチではそもそもオンにできないので不可
  • 押しがけをどうしても試してみたいなら、誰もいない広場などで行うようにしたい

ATやツインクラッチでは行うことはできない

「押しがけ」は、マニュアルトランスミッション車だけができるエンジン始動方法です。バッテリーが上がってしまった際に、タイヤの回転する力をトランスミッションとドライブシャフトを通してエンジンに伝え、始動させる方法です。もしものために知っておきたい「押しがけ」の方法をお伝えします。

操作の仕方は非常にシンプル

MT車比率の激減によって無くなろうとしているのが、押しがけだろう。読んで字の如く、車体を押してエンジンをかける方法のことを指す。そもそもクルマにはスターターが付いているので、キーをひねったり、ボタンを押せばエンジンはかかるため、これを行うのはバッテリーが上がった時。その昔はライトの点けっぱなしでバッテリーが上がることも多く、知っていて損はなかったし、実際にやったことがある方もいるだろう。

理屈としては簡単で、押してタイヤを回すことで動力が逆に伝達をして発電機が回転。そこで発電された電気でプラグに火を飛ばしてエンジンをかけるというもの。実際のやり方としてはキーをオンにして、クラッチを切ったうえで、後ろから押してもらうか、他人がいない場合は坂を下って、勢いがついたところでクラッチを一気につなげるというもの。発電機や点火系に問題がなければ意外にあっさりとエンジンはかかった。

ちなみにバイクでは、押しがけスタートのレースもあって、その場合は2速に入れてクラッチを切ってライダー自身が押してエンジンをかけていた。もちろん、クラッチを切って空走させて一気につなぐのがポイントなので、ATやツインクラッチでは行うことはできない。

そしてよく耳にする説が、最近のクルマは電子制御のインジェクションなのでできないというもの。昔のクルマはキャブレターだったのでシリンダーさえ動けば自然に混合気は吸い込まれて火が付くというのが理由で、そう言われればそうかなと思ったりもする。

最近のクルマはメーカーとして推奨していない

実際のところはどうかというと、電子制御のインジェクションを採用した最近のクルマでも押しがけは普通にできて、キャブ車と変わるところはない。つまりクラッチを離した瞬間に、発電機から電気が供給されるのでそれで点火できるし、クランクなどの位置はセンサー的に問題ないのでエンジンがかかるというわけだ。

この押しがけは実際にはバッテリーが上がった状態で行うテクニックなので、最近のプッシュ式スイッチではそもそもオンにできないので不可。軽トラなどでは未だにアナログキーなので押しがけは可能だが、メーカーとしては推奨していない。

なぜかというと、エンジンがかからなかったとき、ブーストが効かないのでブレーキが効きにくかったり、ステアリングが重たかったりして、危険なこともあるから。どうしても試してみたいなら、誰もいない広場などで試すことをオススメする。

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