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驚きの620馬力! マツダ「FC3S RX-7」を4ローター化…懐かしいノーマルルックチューンドカーのエンジンの秘密とは

純正スタイルFC3S前期はまさかの4ローター仕様

懐かしい姿で仕上げられたFC3S前期型のマツダ「RX-7」。ボディ全体を覆うモールを残し、ほぼノーマル外装の姿を今こうして眺めると懐かしく思われます。そういえば、FC3Sが現役マシンだった頃のストリートチューンは、外装よりも中身と走りで勝負する時代でした。そんな1990年代初頭のチューニングスタイルのまま、新たなマシンとして製作したのは、埼玉県所沢市のチューニングショップ「アニバーサリー」です。古くからロータリー専門ショップとして活躍し、これまでにさまざまな独自仕様を手がけてきた有名店だけに、このFC3Sは見た目こそノーマルっぽものの、その中身はとんでもなく凄かったのです。

最高出力は620馬力に到達

RE専門店アニバーサリーはチャレンジングなチューニングショップとして知られている。ロータリーに関しては、独自に考案したポートをはじめ、つねに新しいことを考え、性能向上に向けて斬新な発想を持って挑み続けている。そんな生粋のREチューニングショップが仕上げたこの車両は、見た目はストックボディのままだが、エンジンルームを確認すると、そこには2ローター13Bエンジンではなく、ローターハウジングが4つ、つまり単純に倍の、4ローター13Bエンジンが搭載されていた。しかも、この4ローター13Bユニットは、アニバーサリーが得意とするNA仕様になっており、エンジン内部のポート形状もサイドポートからペリフェラルポートに変更を加えたハイチューンドモデルであったから凄い。

アニバーサリーは昔から、持て余すパワーを与えるチューニングより、アクセルをどんどん踏める仕様としてトルクフルかつレスポンスに優れたロータリーNAを推奨していた。その仕様については、筆者も実際に乗ったこともあるが、ターボ車では味わえない低回転から太いトルクを発生させて高回転まで伸びていく気持ち良さを持ち、また、アクセルに対するレスポンスも、パーシャル領域からの踏み返しの反応も良く、コントロールも抜群だったことを覚えている。

今回の4ローター13B仕様については、パワーとトルクを両立させた仕様として作り込まれ、その最高出力は620馬力に達するというから驚きだ。

ハイクオリティを誇るニュージーランド製

ロータリーエンジンに詳しい方なら知っていると思うが、そのコンポーネントは「ハウジング」「ローター」「シール」「エキセントリックシャフト」の4つのパーツで構成されている。これを並列で組むことで、2ローターにも3ローターにも4ローターにもなるわけだが、それを組み合わせるための最重要パーツが、ハウジングのセンターに通すエキセントリックシャフトである。

レシプロエンジンでいうところのクランクシャフトのような役割を果たすエキセントリックシャフトは、ロータリーエンジンの要となるパーツ。部品点数が少ないロータリーエンジンは、このシャフトを軸にして組むことで成り立っている。したがって、このシャフトをどんどん伸ばしていけば、理論上では4ローターだけでなく6ローターや8ローターのエンジンだって作り出すことが可能なわけだ。

アニバーサリーでは、過去に4ローターNAに関しては何度も製作し、ストリートにおける十分な耐久性を持たせる仕様のマニュアルも完成している。使用するパーツについては、日本国内に出回っていないパーツも海外に目を向ければ数多く、その中から4ローターを実現させるために独自テストを重ねた。その結果から、製品価値が高く、本当に良い物だけを厳選し、オリジナル4ローターユニットに組み込み完成させた。

アニバーサリーの話では、現在、クオリティの高いロータリーパーツを扱う国として注目なのがニュージーランドで、ここで紹介するFC3Sのエキセントリックシャフトもニュージーランドのメーカーが手がけた製品だった。アメリカ製やオーストラリア製より効率も良く、安心して使える強度や耐久性も十分あるという。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

純正スタイルとハイパワーチューンのギャップが魅力

また、このエンジン以外では、当時物のヨコハマAVSモデル6の16インチパールホワイトホイールにも注目したい。当時を振り返れば、FC3S用のホイールとしてはBBS、パナスポーツ、RSワタナベといったモデルが人気だったが、当時、まだ出たばかりのAVSは、リムまで伸ばしたスポークデザインがホイールを大きく見せるとして注目された。

また、それ以外にも懐かしさを感じるアイテムがこのクルマには多数あり、とくに気になるのがリアに貼ってあるステッカーの存在だ。当時を知る者ならばピンとくる「FORTIS」と「Redic」のステッカーは本当に久しぶりに見る懐かしさ。このFORTISは、トラスト製のエンジンオイルで粘度違いでF2とかF3といった種類が存在。さらにRedicについては、当時のチューニングの定番であった追加インジェクターコントローラーの装着を示すアイテム。これを貼ることで、純正外装でありながらもチューンドの雰囲気を醸し出すアイテムで、当時を知る者にとっては両方とも本当に懐かしいと思えるステッカーのはずだ。

佇まいはオリジナル重視の純正スタイル、そして好き者の雰囲気を感じさせる部分も持っているが、その中身は古き良きチューンドに輪をかけたハイパワーエンジン搭載の最先端マシン。そのギャップはとてもユニークで、落ち着いた印象の姿かたちと違って、エンジンをかけた瞬間に、このクルマの凄さはけたたましい排気音から十分に感じ取れた。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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