みんなが知っているニックネームは愛されている証拠だった
最近はあまりクルマに愛称は付けられていませんが、以前はけっこう一般的なことで、クルマ好きではなくても、多くの人が知っていました。それだけクルマが特別な存在だった時代ともいえるのかもしれません。今回は、なかでも印象的な愛称のクルマたちを紹介します。
ほほえましい愛称を持つクルマが多数存在した
ふたつ名でも、あだ名でも、ニックネームでも、自称は格好悪いが、その特徴をよく表している。みんなに周知されているものは、イコール愛されている証拠でもある。今では少なくなった、そんなほほえましい愛称をもつクルマをいくつかピックアップしてみよう。
電気カミソリ:三菱 デリカD:5(現行モデル)
現行モデルで数少ないニックネームを持っているのが、三菱のロングセラー、「デリカD:5」。その独特のフロントフェイスから、「電気カミソリ」「シェーバー」などと言われている人気車種だ。軽自動車の「デリカミニ」もテイストは似ているが、「ポケットシェ-バー」とは言われていない。むしろ「eKクロス」のほうが、シェーバーっぽいかも……?
元祖 電気カミソリ:トヨタ コロナ(3代目)
電気カミソリといえば、1964年に登場したトヨタの3代目「コロナ」こそ、元祖「電気カミソリ」。特徴的なフロントグリルからのネーミングで「バリカン」とも呼ばれた。
柿の種:日産 ブルーバード(初代)
トヨタ コロナのライバルといえば日産の「ブルーバード」。初代は1959年にデビューした310型。この310のテールランプの形状から、「柿の種」の愛称で呼ばれた。4年間で21万台も生産され、当時の大ヒットモデルだった。
ビッグエッグ:トヨタ エスティマ(初代)
トヨタの「天才タマゴ」というキャッチフレーズで1990年に登場した初代「エスティマ」は、「ビッグエッグ」とも呼ばれた。1988年に東京ドームが日本初の全天候型多目的スタジアムとして誕生し、当初、ビッグエッグとも呼ばれていたため、その影響が大きい(ちなみにトヨタの東京本社も、東京ドームのすぐ近く)。
しかし、東京ドームは2000年に、水道橋エリアの名称を「ビッグエッグシティ」から「東京ドームシティ」へ変更。以後、「ビッグエッグ」は死語になる……。
水中メガネ:ホンダ Z
夏が来~れば、思い出す~♪「水中メガネ」といえば、ホンダ「Z」。ZといえばフェアレディZだと思っている人が多いかもしれないが、リアウインドウの縁を太い樹脂で囲ったホンダZもインパクトのある1台。初代は1970年の登場で、1998年に2代目がミッドシップになって復活したが、「水中メガネ」の面影はなかった。
クジラ:トヨタ クラウン(4代目)
丸みを帯びたスピンドルシェイプの攻めたスタイリングを採用した4代目「クラウン」の愛称は「クジラ」。タクシーなどにも多く採用されていたが、クラウンの中では、セールス的に失敗したモデルといわれている。
モビーディック:ポルシェ 935 ターボ78
クジラといえば、モビーディックも! ポルシェが作ったグループ5の傑作レーシングカー「935」のうち、1978年にル・マンに投入された、ロングノーズ&ロングテール仕様の935は、そのスタイリングから「モビーディック」=「白鯨」と呼ばれた。ストレートスピードを稼ぐための空力処理で、ユーノディエールでは366km/hの最高速度を記録し、まさにモンスター級のパフォーマンスを誇った。
サメ:シトロエンDS
「クジラ」が出てきたので、「サメ」も紹介。シトロエン「DS」のイタリアでの愛称は「Squalo(スクアーロ)」、つまりサメを意味していた。
ハツカネズミ/ヨーグルト:フィアット500
ラテンだと、フィアット「500(チンクエチェント)」の愛称も有名だ。初代は、「トポリーノ」=ハツカネズミと呼ばれ、2代目はフランスだと「pot de yaourt」=ヨーグルト瓶のニックネームが付いていた。
ハコスカ/鉄仮面:日産 スカイライン
日産の「スカイライン」には、かつてそれぞれキャッチコピーがあったのだが、3代目「愛のスカイライン」は「ハコスカ」と呼ばれ、6代目(R30後期)は「鉄仮面」の通り名が有名。
ダルマ:トヨタ セリカ(初代)
最後は「ダルマ」。日本のスペシャルティカーのパイオニアだった、初代「セリカ」。丸みを帯びたボディと、跳ね上がったヒゲのように見えるフロントバンパーの形状から、禅宗の祖師、菩提達磨がモデルの縁起物を想起させ、「ダルマセリカ」と呼ばれるようになった。