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日産「ケンメリGT-R」はトヨタ「2000GT」より貴重な車だった! 1億円を超えるプライスも納得の理由を説明します

日産スカイライン2000GT-R:総生産台数は197台と少ない

生産台数がすべてを物語る

1972年から1977年まで販売された日産の4代目C110系「スカイライン」のフラッグシップモデルとして、1973年1月に追加された「スカイライン2000GT-R」。日本国内はもちろん、海外でも人気の通称「ケンメリGT-R」の魅力に迫ってみました。

オイルショックの影響を受けたケンメリGT-R

日産「スカイライン」の歴史だけでなく、日本車の歴史において燦然と輝くのが「GT-R」だ。もっと言ってしまえば、今や世界中から注目を集めている、文句なしに名車と言っていい。とくに第1世代は別格の存在だ。改めて解説しておくと、第1世代はGT-Rの始祖たる「ハコスカ」(C10系)と「ケンメリ」(C110系)が該当し、第2世代はR32、R33、R34。そしてR35が第3世代と続く。

まさに名車揃いだが、そのなかでも昨今の旧車ブームのなか、超が付く高騰となっているのがKPGC110型、4代目スカイラインをベースに作られたケンメリのGT-Rだ。ちなみにケンメリは広告キャラクターの「ケンとメリー」から付けられた愛称となる。

およそ10年前、旧車ブームや高騰が始まる前の時点でも1000万円程度で、もともと高くはあった。それが今では、国内オークションや外国オークションで1億円のプライスが付いている個体も。それほどの価値があるのかは人それぞれではあるので高い安いはなんとも言えないが、改めてケンメリGT-Rの価値について考えてみよう。

まずは台数。たった197台しか世に生産されていなくて、販売台数は195台とされている。これはトヨタ「2000GT」の337台よりも少ない数字だ。もちろんそれより少ないクルマも世の中にはたくさんあるだろうが、スカイラインという日産を代表するモデルであることと、やはりGT-Rというブランドゆえの高い希少性があるだろう。これに加えて、第1世代最後というか、オイルショックや排ガス規制による生産中止やレース参戦直前で中止といった悲劇的なエピソードも後押ししている。

レーシーな顔つきにオーバーフェンダーを装着

では、メカニズムでの注目点はというと、文句なしにプリンス直系のS20型エンジンにある。ケンメリGT-Rが登場した1973年でも24バルブのDOHCエンジンはまだ珍しく、希少性はあった。現代の目からするとズラリと並んだキャブレターなど、なんとも言えないオーラが漂ってくるのは事実で、見た目も含めてケンメリGT-Rの魅力だろう。そのほか、4輪ディスクブレーキ化やスタビライザーの追加を行っている。

ただし、ハコスカで話題だった戦うための100Lタンクなどは廃止されていたり、基本部分はハコスカからの継承だったりはする。細かく見ていくと目新しさはなく、ケンメリ自体の評価はもともと芳しくなかったのもまた事実だ。

最後に見た目はというと、レーシーな顔つきとオーバーフェンダー、後端に付けられたスポイラーはGT-Rらしさにあふれるし、ベースのGTと比較しても大きな違いでもある。現在、いわゆるGT-R仕様も1000万円超えといった状況で、これはやはりGT-Rという見た目の別格感ゆえだろう。ちなみに内装に関してはケンメリGT-Rではあまり手が入れられてはいないが。

以上、ケンメリGT-Rの魅力を整理してみたが、冒頭でも言ったように価値は人それぞれ。ただ言えるのは、このようなレーシーな内容と雰囲気をもったクルマは二度と現れないだろうし、なにより現存数も増えることはないということ。クルマも歴史価値があると考えれば、価格に評価が反映されるのも自然ではあると思われる。

>>>GT-Rの専門誌「GT-R Magazine」のVol177を読みたい方はこちら(外部サイト)

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