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ライバルは僚友! ニュル耐久シリーズ現在2位「目指せ日本人初のシリーズチャンピオン」…トーヨータイヤの作戦は?【Key’s note】

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TEXT: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)  PHOTO: TOYO TIRES

  • ピットクルーは1秒でも早くマシンをコースに送り出すために日々鍛錬している
  • 全長20km以上のロングコースで争われる
  • 木下さんのライバルはBMW M4やポルシェ ケイマンなど
  • 現在はランキング2位。1位はチームメイトで、トーヨータイヤが強さを見せつける
  • ピット作業はレースの勝敗を左右するのでとても重要
  • アップダウンの激しいニュルブルクリンクを攻める木下さんがドライブするGRスープラ

普通に考えれば同じタイミングで給油になるが

レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之氏が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「耐久レースの給油タイミング」についてです。筆者はドイツにも活動拠点を構えて、ニュルブルクリンクで開催される耐久レースに年間エントリーしています。現在はランキング2位。トップのチームメイトを追いかけている状況です。耐久レースを戦ううえで、重要となってくるのが給油のタイミング。勝利を左右することがあるので、とても大事です。仲間でもありライバルでもある、チーム内の給油タイミングの駆け引きとは?

2024年シーズンは折り返しで現在年間ランキング2位

NLSニュルブルクリンク耐久シリーズに全戦参戦を開始してから約6カ月が過ぎました。レースは全9戦(NLS全8戦とニュルブルクリンク24時間特別戦1戦)であり、すでに6戦が消化しています。8月3日(土)が実質的な折り返しポイントになります。

僕は今年、ニュルブルクリンク全戦参戦を計画するに際して、「日本人初のシリーズチャンピオン」を目標として掲げていますが、現在のところランキングは2位のようです。ランキングトップはじつは、トーヨータイヤが走らせる2台の「GRスープラGT4」のもう1台、僚友がポイント上でトップを快走しているのです。

僕の夢であり目標である日本人初のシリーズチャンピオンを阻もうとしているのが、チームメイトの170号車(アンディ、ティム、マルコ)であることが皮肉ですが、わが171号車(木下、ヘイコ、ティシュナー)がランキング2位につけていることは、トーヨータイヤの優秀性を語るわけです。

シリーズ展開を占ううえで、倒さなくてはならない最大にして最強の敵がチームメイトだというのも、嬉しいやら悲しいやら……。ただ、チーム関係は良好です。どちらかを勝たせるとかサポート側に回るとか、そういったチームオーダーは存在しません。

例えば給油のためのピットインは、ガソリンタンクの量が共通であり燃費もほぼ同様ですから、ほぼ同時に行われます。スタートしてペースがほぼ同じであれば、2台が給油のためほぼ同時にピットインしてくるわけです。

ただ、ピットには給油装置がひとつしかありません。同時のピットであれば、1台がもう1台の給油終了まで待たねばならず、大きなタイムロスを招きます。その意味では、スタートして先行したマシンが先にピットインすることになり、とても有利なわけです。追走するマシンは、致命的なタイムロスを被ることになります。

ピット作業の様子

ではどうするか……。2台の給油タイミングを分けるのです。一般的には、前走するマシンを予定通りの周回で給油します。追走側のマシンは、その前周、もしくは次の周にピットインさせます。これによってチームメイトの2台がお互いにロスすることなく給油作業を終えることになるわけです。

レース状況を見てチームが最適なタイミングを判断する

ただ、そう簡単ではないのがレースの難しいところです。給油タイミングを1周ずらすことで、のちの給油回数が変動することも考えられます。つまり、耐久レースですから何度かの給油ピットインが行われます。それが最初のピットタイミングをずらしたことで、最終的にライバルよりもピットストップが1回増えることもあり得るのです。それではレースで勝てません。

よしんば給油回数が増えなかったとしても、ガソリンがまだ残っている時に給油することで、ラップタイムが稼げないこともあります。ガソリン残量もウエイトですから、車重の重たい状況での周回はラップタイムに悪影響を及ぼすわけです。

とまあ、給油のためのピットイン回数ひとつとっても複雑であり、チーム戦略が大切になってくるのです。さて、次戦でわれわれはどのような作戦で戦うのでしょうか。当日にならないとチームストラテジストのプランは発表されません。楽しみにしていてください。

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  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 1960年5月5日生まれ。明治学院大学経済学部卒業。体育会自動車部主将。日本学生チャンピオン。出版社編集部勤務後にレーシングドライバー、シャーナリストに転身。日産、トヨタ、三菱のメーカー契約。全日本、欧州のレースでシリーズチャンピオンを獲得。スーパー耐久史上最多勝利数記録を更新中。伝統的なニュルブルクリンク24時間レースには日本人最多出場、最速タイム、最高位を保持。2018年はブランパンGTアジアシリーズに参戦。シリーズチャンピオン獲得。レクサスブランドアドバイザー。現在はトーヨータイヤのアンバサダーに就任。レース活動と並行して、積極的にマスコミへの出演、執筆活動をこなす。テレビ出演の他、自動車雑誌および一般男性誌に多数執筆。数誌に連載レギュラーページを持つ。日本カーオブザイヤー選考委員。日本モータージャーナリスト協会所属。日本ボートオブザイヤー選考委員。
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