細かい部分ではまったく別物
愛車を美しく保つためには、ボディケアは欠かせません。ボディをキレイに保つ方法として、ワックスやコーティングという選択肢がありますが、それぞれの違いをご存知でしょうか。ここではあらためて解説したいと思います。
ボディは紫外線や熱で劣化する
ボディケアの基本は塗装の保護。ワックスやコーティングをかけることで、見た目がよくなるだけでなく、塗装自体を保護する効果も期待できる。ちなみに塗装というのは硬くて丈夫なもののように思えるが、あくまでもウレタンなどの樹脂なので耐久性はそこそこ。なにも保護しないで放置しておくと、紫外線や熱、雨や黄砂などの影響で次第に劣化。色があせたり、最悪の場合はヒビが入ったり。また、たまに見かけるボディ表面が変色してガサガサになった、いわゆるクリア剥がれも起こったりする。
それらを防止するのがボディケアなのだが、ワックスとコーティングは何が違うのだろうか。ワックス自体が一般名詞化していて、ボディに塗るものはなんでもワックスと呼んだり、ワックスがけとひと括りにしたりしている。もちろん実際は両者に違いはある。
艶や撥水効果が違う
ワックスとコーティングの大きな違いは、油性や水性などか、化学的に作られた薬品かということにある。ワックスの代表格である固形は油性だし、ハンネリは水性。またコーティングはガラス系などがあるように、薬品の一種となる。
効果としての違いは、ワックスはたとえば固形であれば油性なので自然なツヤを出しやすく、高級天然素材として有名なカルナウバロウも配合しやすいので濡れたような深みのある光沢を出すことも可能だ。
一方のコーティングは化学薬品であり、強固な被膜を化学的に作るのでツヤはクリアで、少々人工的な印象を受けることもある。この点は弱点というわけではなく、強力な光沢だったりするし、強力な撥水効果も付与しやすいので、魅力のひとつになっている。
そして手間や労力に関係する耐久性だ。ワックスはあくまで塗って塗装表面に付着させるだけで、雨などで自然に少しずつ流れ落ちてしまうため保ちに関してはそこそこ。窓ガラスに付着してギラギラになってしまう油膜はボディから流れ落ちたワックスが大きな原因のひとつだ。
コーティングはすでに紹介したように、化学的に塗装表面に定着するのでかなり長い期間持続するのが特徴で、半年は当たり前。プロのコーティングともなると数年間持続するのも、化学薬品ゆえである。
この定着度合いの違いは作業にも違いがあって、製品によって異なるものの、ワックスは塗ったらすぐに拭き取る。コーティングは塗装に定着させる必要があるため、一定時間乾燥させてから拭き上げるのがそれぞれ基本となっている。
こう見ていくとワックスとコーティングは塗装保護と美観という目的は似たようなものながら、細かい部分ではまったく別物と言っていい。どっちがいい悪いではないので悪しからず。求める風合いやクルマの使い方、はたまた作業環境などで選べばいいだろう。最後にどちらにも共通する注意点として、一度使ったら最後まで使い切ること。あれこれ使ってみたくなるのはわからないでもないが、効果を最大限に引き出すという点では同じものを使い続けるのがベストとなる。