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予想以上! 約3.3億円でメルセデス・ベンツ「300SLロードスター」が落札…希少なボディカラーと新車当時のレストアが高値の理由でした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

希少ボディカラーはマーケットでの評価にも直結

このほどRMサザビーズ「The Dare to Dream Collection」オークションに出品された300SL ロードスターは、ダイムラー・ベンツ社(当時)が1959年のモデルイヤーに生産した、この象徴的なモデルのわずか211台のうちの1台。くわえて「ライトブルー(DB 334)」という傑出したカラーで顧客に提供された、全生産台数中わずか101台のロードスターのうちの1台といわれている。

その特別なボディカラーに加え、ダンロップ社製ディスクブレーキ、ファイナル3.64レシオのリアアクスル、カラーマッチのホイール、ベッカー社製「メキシコ」ラジオ、タルボットミラー、ベイシュスタイルのシートベルトが装備されていたとのことである。

資料によると、この美しいロードスターは1959年8月9日にワシントン州シアトルの「フィル・スマート・メルセデス・ベンツ」社に新車として引き渡された。その後54年間、ファーストオーナーの家族内で保管されたと伝えられている。また、1998年以前のある時点で、黒のレザー張りの上にシルバーのペイントを施した、より控えめなカラーリングにレストアされたという。

2011年、このロードスターは外観こそきれいに保たれていたとはいえ、かなり摩耗した状態で次のオーナーに譲渡されるが、すぐにカナダの世界的300SLスペシャリスト、ルディ・コニチェックのレストア工房に委託された。

この時に行われた費用を惜しまないフルレストアでは、ナンバーマッチングのボディとチューブラーフレームが分離され、双方ともむき出しの金属に剥がされた。

新車として工場から出荷された時の色合いにレストア

コニチェック氏の作業に関する詳細な写真記録ファイルによると、新たに成形されたスチールとアルミニウムのパネルが、必要に応じてオリジナルのボディに組み込まれたうえに、新車として工場から出荷された時の色合いであるライトブルーに再塗装。豪華で人間工学に基づいたインテリアは、ダークブルーのファブリック製ロードスタートップの下に、赤いレザー(1079)でみごとに仕立て直された。

コニシェック氏と彼のチームは、このロードスターの特徴であるフューエルインジェクションや、こちらもナンバーマッチングの3L直列6気筒SOHCエンジンの完全なリビルドも行った。くわえて、コニチェック氏のレストア作業リストの中で特筆すべき項目には、完全に刷新したワイヤーハーネスの製作と取り付け、工場出荷時から純正装着されていたダンロップ社製ディスクブレーキの修復なども挙げられる。

「ルディ・アンド・カンパニー」のファクトリーから完全に生まれ変わったこの素晴らしい300SL ロードスターは、完成から間もなく「The Dare to Dream Collection」に購入された。空調管理されたコレクションガレージのなかで、この300SLは多くの自動車界のアイコン的名車やドリームカーたちとともに「厩務員」たちから愛されてきた。

この希少なオリジナルカラーのロードスターに、RMサザビーズ北米本社は150万ドル~180万ドル(約2億3200万円〜2億7840万円)という、かなりの自信をうかがわせるエスティメート(推定落札価格)を設定した。ところで、今回の「The Dare to Dream Collection」オークションは、すべて「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」形式で行われるというのが前提条件。したがって、たとえ入札が希望価格に到達しなくても落札されてしまう可能性もある。

しかも、エスティメートの段階からけっこう高価だったこともあって、「リザーヴなし」ではしばしば起こりうる安価な落札もオーナー側では危惧しただろうが、競売が終わってみればエスティメート上限を大幅に上回る209万5000ドルで落札されるに至った。

すなわち、現在のレートで日本円に換算すれば約3億3000万円という、たとえ現在の慢性的な円安の為替レートを考慮しても、戦慄を禁じえないようなハンマープライスがたたき出されたのである。

>>>メルセデスの専門誌「only Mercedes」のvol.220を読みたい人はこちら(外部サイト)

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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