内外装だけでも非常に個性的なオーパ
1990年代前後のトヨタ車は、ソツのないクルマ作りをする一方で面白みに欠けるクルマが多いという評価もあり、その点を揶揄した「80点主義」という言われ方をしていたこともありました(本来の意味とは異なりますが……)。しかし、トヨタはその頃でも度々チャレンジングなクルマを世に送り出しており、今回紹介する「オーパ」もそんなクルマの1台と言えます。
室内も広々としていた
1999年に開催された第33回東京モーターショーにコンセプトモデルが展示されたトヨタ「オーパ」は、翌年5月にほぼそのままのスタイルで市販化をスタート。
50系の「ビスタ」と共有するプラットフォームの上にショートワゴンタイプのボディを合わせたスタイルで、「ミニバンのキャビンスペースと多機能性」と「高級サルーンの走り」をクロスオーバーさせた次世代ミディアムカーとされており、2700mmを誇るロングホイールベースから生まれる室内空間(室内長2025mm)は、たしかにゆとりあるものとなっていた。
また全長はビスタよりもおよそ40mm短くなっており、5ナンバーサイズの全幅も相まって取り回しのしやすさも美点となっていた。
そのためリアオーバーハングが切り詰められた独特のスタイルとなっていたが、リアシートはリクライニングのほか前後120mmのロングスライドやダブルフラット化も可能となっており、リアシートの両方をダブルフラットにすると奥行き最大1700mmのフルフラットなラゲッジスペースを確保することも可能で、若干斜めになれば大柄な人でも横になることができる広さを持ち合わせてもいたのである。
なお前期型では一部グレードでフロントシートをグレー、リアシートをブラックと表皮のカラーを変えることで落ち着いたプライベート感を演出する手法も取られていた。
このように内外装だけでも非常に個性的なオーパであったが、先行してリリースされた1.8Lモデルの3カ月遅れで登場した2Lモデルには、トヨタ車として初となるCVT(スーパーCVT)が搭載されており、パワートレインにもチャレンジングな要素を備えていたのだ。
そんな個性派のオーパ、言ってしまえば同じプラットフォームを持ち、保守的なビスタ&ビスタアルデオ(ワゴン)が存在していたからこそ生まれたとも言えなくもないのだが、新たなジャンルを切り拓こうとしてリリースされたことは間違いなく、ただの不人気車で片づけてしまうのはもったいない1台なのである。