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最初期のVW「ビートル」には、ナチス時代のドイツ労働戦線の名残も!「多幸感」あふれる走りは不運を乗り越えたからこそ【旧車ソムリエ】

最初期のVW「ビートル」には、ナチス時代のドイツ労働戦線の名残も!「多幸感」あふれる走りは不運を乗り越えたからこそ【旧車ソムリエ】

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 神村 聖(KAMIMURA Satoshi)

  • 1952年式 VW タイプ1:かつて熱心なVWエンスージアストがベルギーから輸入した個体
  • 1952年式 VW タイプ1:徹底したレストアが行われてオリジナル度の高いコンディションを保っている
  • 1952年式 VW タイプ1:ノーズに備わるヴォルフスブルクの紋章も、年代によってデザインが少しずつ変遷している
  • 1952年式 VW タイプ1:バンパーに差し色が入るのがお洒落
  • 1952年式 VW タイプ1:TELEFUNKEN製のラジオアンテナを装備
  • 1952年式 VW タイプ1:フロントクオーターの開閉式の通気口は1951~1952年モデルだけの装備
  • 1952年式 VW タイプ1:タイヤサイズは16インチ。ホイールキャップのVWマークはバンパーと同様に赤でコーディネートされている
  • 1952年式 VW タイプ1:腕木式の方向指示器、セマフォーも可動状態
  • 1952年式 VW タイプ1:ルーフラックは昔から人気の実用アクセサリー
  • 1952年式 VW タイプ1:ライセンスプレート・ランプは、ブレーキランプを兼ねる
  • 1952年式 VW タイプ1:テールランプは非常にあっさりしたデザイン
  • 1952年式 VW タイプ1:マフラーエンドのチップは当時のアクセサリー
  • 1952年式 VW タイプ1:フロントフードの下にはスペアタイヤと燃料タンク
  • 1952年式 VW タイプ1:1131ccの空冷水平対向4気筒エンジンは25psを発揮
  • 1952年式 VW タイプ1:T字型のエアフィルターは1953年モデルまで
  • 1952年式 VW タイプ1:ディストリビューターはBOSCH製
  • 1952年式 VW タイプ1:ダッシュ中央の速度計はVDO製で120km/hまで刻まれる
  • 1952年式 VW タイプ1:速度計の隣は純正ではアナログ時計。現車では当時の人気アクセサリーであるTELEFUNKEN製ラジオに換装している
  • 1952年式 VW タイプ1:クラシックVWのお洒落の定番、一輪挿しフラワーベース
  • 1952年式 VW タイプ1:グローブボックスはフタもない簡素なつくり
  • 1952年式 VW タイプ1:ペダルのVWマークを取り囲む歯車デザインは、ナチス時代のDAF(ドイツ労働戦線)の名残り
  • 1952年式 VW タイプ1:唯一設計年次を感じさせるのは、1速~4速までが完全ノンシンクロというギヤボックス
  • 1952年式 VW タイプ1:ドアのハンドルもよく見ると凝った意匠
  • 1952年式 VW タイプ1:シートには現オーナーがカバーをかぶせて保護している
  • 1952年式 VW タイプ1:後席の設えもゆったりしたもので、家族4人での旅行を前提としていた
  • 1952年式 VW タイプ1:後席の後ろにはトランクケースを入れられるようになっている
  • 1952年式 VW タイプ1:後席用の「吊り革」
  • 1952年式 VW タイプ1:後席に備わる灰皿も洒落たデザイン
  • 1952年式 VW タイプ1:最初期モデルは左右2分割式のリアウインドウ(通称「スプリットウインドウ」)を与えられていたが、1953年モデル以降はセンターの支柱が取り払われた「オーバルウインドウ」に進化する
  • 1952年式 VW タイプ1:アール・デコの面影を感じるダッシュボード
  • 1952年式 VW タイプ1:よく粘る低・中速トルクを活かしてトコトコと走ってくれる
  • 1952年式 VW タイプ1:同じビートルでも「オーバル」時代以降のモデルよりも第二次大戦前のクルマに近い、どこか荘重な存在感を漂わせているようにも映る
  • 1952年式 VW タイプ1:戦前デビュー時の面影を色濃く残した「スプリットウインドウ」モデルの最終型

1952年式 フォルクスワーゲン タイプ1“スプリットウインドウ”

「クラシックカーって実際に運転してみると、どうなの……?」という疑問にお答えするべくスタートした、クラシック/ヤングタイマーのクルマを対象とするテストドライブ企画「旧車ソムリエ」。今回は、「スプリットウインドウ」と呼ばれる最初期のフォルクスワーゲン「タイプ1」、通称「ビートル」を主役に選び、そのモデル概要とドライブインプレッションをお届けします。

悲しい歴史を乗り越えた、世界の国民車のはじまり

自動車史上最高の名車のひとつと称賛されるフォルクスワーゲン「タイプ1」、いわゆる「ビートル」は、もともとナチス政権の国民車構想としてスタートしたもの。しかもドイツ国民から募った積立金を資金に生産する計画もあっけなく反故にされ、すべて軍用車に転用されてしまうという悲しい歴史を背負っていながらも、第二次大戦の終結後には大衆の貴重な交通手段として、戦争で荒廃したヨーロッパ全土の復興のために大いに活躍したのは、もはや誰もが周知のストーリーといえよう。

国民車「KdFヴァーゲン」として1938年に発表されて以来、2003年をもってメキシコでの生産を終えるまでに、じつに65年もの長きにわたって生き長らえたVWタイプ1ビートルは、その間基本的なスタイルこそ不変だったものの、そこはドイツ車らしく、目まぐるしく改良が施されてきた。

まずは戦後間もない1945年、イギリス軍の管理下で生産開始された際には、KdF時代から受け継いだ985ccの空冷フラット4エンジンを搭載したが、すぐ1131ccに拡大。1954年からは1192ccに拡大した「1200」となる。

いっぽうボディについても、最初期モデルは左右2分割式のリアウインドウ(通称「スプリットウインドウ」)を与えられていたが、1953年モデル以降はセンターの支柱が取り払われた「オーバルウインドウ」に進化。さらにこの後、1958年モデルでは後窓は四角く大型化され、「スクエアウインドウ」と呼ばれる。

まずは西ドイツ国内から販売がスタートしたVWタイプ1は、戦後復興の大きな助けになってゆく。1947年にはオランダを皮切りに輸出も開始され、戦後のインフレも相まって事実上の壊滅状態にあった西ドイツ経済に、貴重な外貨をもたらしたという。

とくに最大の輸出先アメリカ合衆国では、広告業界に革命をもたらしたともいわれる広告代理店「DDB」社の斬新な広告展開もあって爆発的な人気を博しただけでなく、ある種の自由のシンボルとして評価を受け、本国ドイツとはまったく異なる、アメリカ独自の「VW文化」を形成するに至った。

また、極東のわが国にも大量上陸を果たしたVWビートルは。当初は2ドア車ながらタクシーとしても使用されるなど、日本の初期モータリゼーションの構築のために絶大な役割を果たしている。

そのかたわら、子どもたちからは「かぶとむし」と愛称され、「ワーゲンを3台見ると、なにか良いことがある」といった可愛らしいジンクスが日本全国の小学生の間で流行するなど、生活ツールとしての自動車の域をはるかに超えた、特別な愛情の対象にもなっていたのだ。

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