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初めて買った愛車ポルシェ「911T」に乗って43年! オドメーターが2周目の9万キロを超えても普段の足として乗り続けています

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循(NAGAO Jun)

  • ポルシェ 911T:1970年式の2.2Lモデル
  • ポルシェ 911T:ナローボディの時代ながら、ホイールベースが57mm延長され、前後のボディアーチにフレアがついている
  • ポルシェ 911T:中央がタコメーターで、丸型の計器類が5連で並ぶインパネ
  • ポルシェ 911T:ポルシェエンブレムのフロアマットが目を惹くコクピット
  • ポルシェ 911T:125psを発揮する2.2Lエンジンを搭載する
  • ポルシェ 911T:必要なパーツを海外から取り寄せたりすることもあるそう
  • ポルシェ 911T:オドメーターの数字は9万kmを超えているが、これは2周目とのこと
  • ポルシェ 911T:ボディはカルマン社製
  • ポルシェ 911T:ドイツ語で記されたタイヤ空気圧表示
  • ポルシェ 911T:消耗パーツ以外はほとんどオリジナル状態が保たれている
  • ポルシェ 911T:ポルシェは比較的パーツが豊富だそうで、オリジナル状態が保たれている
  • ポルシェ 911T:一昨年はブレーキ関係、このイベントの1週間ほど前には足まわりをオーバーホールしたばかり
  • ポルシェ 911Tと、オーナーの七澤 洋さん
  • このクルマのヒストリーを記したものを掲示していた
  • ポルシェ 911T:新潟のお隣、富山県から自走での参加
  • ポルシェ 911Tと、オーナーの七澤 洋さん
  • ポルシェ 911T:1981年に入手して40年以上大切にしている

『栄光のル・マン』でスティーブ・マックイーンが駆る911に憧れて

2024年5月3日に新潟県糸魚川市で開催された「第19回クラシックカーミーティング」。その会場で見かけたのが七澤 洋さんが所有するポルシェ「911T」です。1971年に公開された映画『栄光のル・マン』を観て憧れていたそうで、生まれて初めて買った愛車なのだとか。以来、大切にされているという愛車を紹介してもらいました。

参加者も見学者もゆったりとクラシックカーを愛でるイベント

新潟県の最西部に位置する糸魚川市。地質学的に大きな意味を持つこの地域は、日本初の「世界ジオパーク」としてユネスコが認定するなど豊かな自然でも知られるが、じつは旧車乗りにとっては「クラシックカーの街」としてもおなじみで、最近では年に3回ほど大きなヒストリックカー・イベントが開催されている。そして毎回そのイベント会場となるのが、フォッサマグナミュージアムが建つ美山公園だ。

さる2024年5月3日、そのフォッサマグナミュージアムに隣接するエリアで開催されたのが「第19回クラシックカーミーティング」。毎年ゴールデンウィーク中に開催される恒例のイベントだ。今回も1975年以前に生産された大衆車からスポーツカーまで、総勢46台のクルマが集まった。このイベントの特徴をひと言で言えば「少数精鋭」であろうか。100台以上のエントラントが集う「クラシックカーレビュー」や、ヤングタイマーのための「ネオクラシックカーフェスタ」などの姉妹イベントに対し、こちらはエントラント数をしぼって、エントラントも見学者もゆったり静かにイベントを楽しめるのが美点。

そんな、たおやかな空気が漂う会場内で見かけた1台が、こちらのポルシェ「911T」。ナローボディの時代ながら、ホイールベースが57mm延長され、前後のボディアーチにフレアがついた1970年式の2.2Lモデルだ。

生まれて初めて自分で買ったクルマ

「映画『栄光のル・マン』(1971年)の冒頭でスティーブ・マックイーンが乗っていた1970年式の911に、ずっと憧れていたました」

と語るのは、オーナーの七澤 洋さん。新潟のお隣、富山県から自走での参加。このイベントは皆勤賞とのこと。

「いつかは911を手に入れたいと思っていたのですが、社会人になってからしばらくの間は仕事が多忙を極め、お金を使う時間すらなかったです」

そんな多忙な七澤さんが、この911を手に入れたのは1981年のこと。じつは生まれて初めて自分で買ったクルマだという。

「それ以来、ずっと乗り続けています。この時代のTはボディがカルマン製で、作りがとてもしっかりしています」

と、カルマン謹製のプレートを見せてくれる七澤さん。もちろんカタログモデルのパワーで言えば911Sなのだが、ル・マンをはじめ、1970年代初頭のモーターポーツの世界では911Sと同じかそれ以上に、数多くの911Tがプライベーターの手によって出走していた。このことからもTのバランスの良さがうかがえよう。

入手して40年、オリジナル状態をキープ

かつてS.マックィーンの駆った911に憧れ、実際に手に入れてから40年以上。購入時のコンディションをできる限りキープすることが今後の目標という七澤さん。実際、消耗パーツ以外はほとんどオリジナル状態が保たれている。

「ポルシェは比較的パーツが豊富なのがありがたいですね。また、必要なパーツを海外から取り寄せたりすることもあります」

一昨年はブレーキ関係、このイベントの1週間ほど前には足まわりをオーバーホールしたばかりという七澤さんの911T。オドメーターの数字は9万kmを超えているが、これは2周目とのこと。すこぶる機関好調。ご本人は

「けっこう普段の足にも使っているので、ピカピカじゃないです」

と謙遜されるが、七澤さんと911Tの関係は、じつはオーナーとクルマの、最も素敵な付き合い方のひとつのお手本じゃないかと思われるのだった。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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