開催国ということもあり大賑わい
モータースポーツを中心に欧州で取材を行う池ノ内みどりさん。2024年もニュルブルクリンク、ル・マンなど24時間レース取材を終えてドイツ・ミュンヘンに戻ると、街はサッカーの欧州選手権(EURO2024)を応援するためお祭り騒ぎに。ファンゾーンなどオリンピック公園で開催されているイベントに出かけてみると、電気自動車の展示などが行われていました。人気イベントの様子をお届けします。
メインスポンサーのBYDも車両を展示
24時間レースが続いてしばらく留守にしている間に、サッカーの欧州選手権が始まっていて、自宅のすぐそばのオリンピック公園では大きなファンゾーンが作られていたので覗いてきた時のことをレポートします。
大きな公園にあるホールやスタジアムでは、世界的な有名アーティストのコンサートやマラソンをはじめ、さまざまなイベントが日常的に開催されているのですが、サッカーの欧州選手権はここ最近では別格の来場者の多さだと感じています。2024年、ドイツは開催国。強豪国が揃うヨーロッパだけに、ワールドカップと同様か、それ以上に盛り上がりますので、ファンゾーンや街のいたるところにあるパブリックビューイングはファンだらけ!
とくに地元ドイツ代表チームの試合では、オリンピック公園の入場が制限されるほど。それどころか、市内を走る電車は乗り切れないほど混雑するときもあるそうです。私はミュンヘンにいる際、大半がママチャリ移動で電車に乗るのは年に数回なので、そんな大変なことになっているとはまったく知りませんでした。
さて、サッカーの欧州選手権ではあるのですが、ファンゾーンには最近日本でも人気(?)の中国BYDの大きな展示ブースがありました。ミュンヘン市内でBYDが走っている姿はほとんど見かけないのですが、欧州選手権の大会オフィシャルスポンサーのようです。ドイツの大手オンライン中古車検索サイト「Mobile.de」のアンケートによると、中国メーカーのEVカーが今後ドイツ市場で担う役割があるかという回答に50.3%ものドイツ国民が「はい」と答えたものの、その中で実際に買う可能性がある方は22.1%に留まりました。
一方で、アウディ、BMW、メルセデス、VWといった自国メーカーを購入したいという方は32.2%だそうです。自国のメーカーを支持する方も案外低いようにも思いますが……。去年開催されたIAAモビリティ ミュンヘンでも中国の出展社は非常に多く、ここは中国か? と思ったほどですし、韓国も多かったのですが、日本勢はゼロ。
市内をママチャリで走っている際に目に入るEVは、圧倒的にドイツ御三家にVWとポルシェ、そしてテスラという感じです。とくにテスラはベルリン郊外に巨大ファクトリーを構えたおかげで、アメリカブランドながら実質的に「Made in Germany」なんですよね。
ドイツではまだ日本のEVを見る機会は少ない
日本メーカーのEVを見かけることは極まれなのですが、韓国車は多いように思います。かつて谷口信輝選手と組みスーパーGTで活躍していたドイツ人レーシングドライバーのドミニク・ファーンバッハさんは、トヨタとヒョンデの正規販売店を経営しているので話を聞くと、日本車よりも安価であり5年間保証付きということで韓国車を購入する層が徐々に増えてきていると教えてくれました。EVも内燃系もドイツでは韓国車の勢いがある感じがしています。韓国の食べ物のお店もここ最近は一気に増えてミュンヘンは韓国ブーム到来でしょうか。
シーズンオフの間は半年近く愛車に乗らないこともある一方で、多い月は1カ月に6000kmほどを走る私の今の生活スタイルではEVはまだ現実的ではなく、購入を考えるに至った事はありませんが、いつかその日が訪れるのでしょうね。
さて、わたしが訪れた日は欧州選手権の予選リーグのドイツ対スイス戦が開催され、21時キックオフ。ドイツ戦のときは人があふれすぎて、試合開始の随分前から入場停止になるので、様子を見に午後3時頃に向かってみました。その時点で結構な数の入場者で、このファンのみなさんたちは21時のキックオフまで場所を確保するためにじっと座っていたようです。
この雰囲気、なんでしょう、つい先日までいたル・マン24時間レースによく似ているではありませんか! オフィシャルショップがあったり、ユニフォームを着てビールを飲んでいるファンのみなさんの姿! なんだかワクワクした昼下がりでした。