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なぜレース好きが醜いクルマで有名なシトロエン「アミ6」に惚れた? 40年来の仲間3人組でクラシックカーラリーを楽しみました

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TEXT: 奥村純一(OKUMURA Junichi)  PHOTO: 奥村純一(OKUMURA Junichi)

  • 40年来のモータースポーツの仲間でシトロエン アミ6に乗ってジーロ・ディ・三河~遠州を楽しむ。右から近田直人さん、柘植和廣さん、鈴木陽一郎さん
  • ジーロ・ディ・三河~遠州に出場した1968年式シトロエン アミ6。なんともユーモラスな表情だ
  • シトロエン アミ6のCピラーからルーフにかけては、クリフカットと呼ばれる特徴的なスタイリング
  • シトロエン アミ6:フォード アングリアやマツダ キャロルも同じくクリフカットのスタイルだが、その角度は段違いだ
  • シトロエン アミ6:ホイールは3穴。最初に向きを変えてやれば大きなロールも軽減すると、モータースポーツ愛好家のオーナーは語る
  • シトロエン アミ6:600ccの4サイクルエンジンを搭載
  • シトロエン アミ6:一度、タイヤがずれてシフトリンケージの動作範囲が狭まりバックに入らなくなったことがあるそうだが、見れば即解決した。タイヤの固定バンドの位置を変えて再発防止
  • シトロエン アミ6:雨の日にトランクを開けると水が流れ込むこともあるが、それも愛嬌だと笑うオーナー
  • シトロエン アミ6:シンプルイズベスト、必要最低限のメーターまわりは視認性も抜群
  • お台場フォーミュラEと、鈴鹿F1日本GPの合間の休日を友人たちと過ごす、モータースポーツ界の重鎮・柘植和廣さん
  • シトロエン アミ6:豊橋市民俗資料収蔵室、通称「ふるため」をスタートするアミ6
  • シトロエン アミ6:設楽原歴史資料館に再現された馬防柵前に設置されたチェックポイントに到着したアミ6
  • シトロエン アミ6:ゴールの豊橋市民俗資料収蔵室、通称「ふるため」では多くの人が出迎えてくれた
  • 織田徳川連合軍と武田軍で、この馬防柵が雌雄を決したと言われている長篠設楽原の合戦地
  • 地元の可愛い高校生たちもボランティアスタッフとしてジーロ・ディ・三河~遠州を応援してくれた
  • 衆議院議員で、豊橋市出身の元F1レーサー山本左近さん(中央)も地元イベントの応援に駆けつけた
  • シトロエン アミ6:ゴールの豊橋市民俗資料収蔵室、通称「ふるため」に戻ってきた、モータースポーツ3人組を乗せたアミ6
  • 奥三河を経由し浜名湖を周遊する1968年式シトロエン アミ6

ずっとレース一辺倒だったオーナーが選んだのは、対極ともいえるヒストリックカー

愛知県豊橋市に唯一残る木造校舎の学校跡地で開催されたクラシックカーイベント「ジーロ・ディ・三河~遠州」。約70台の時代もスタイルもさまざまな個性豊かなクラシックカーたちの中でも、ひときわ目立っていたのがこのシトロエン「アミ6」です。早速オーナーに話を聞いてみると、意外すぎる経歴の持ち主でした。

攻めた「クリフカット」デザインのアミ6にベタ惚れ

シトロエン「アミ6」は、独特のフロントフェイスに思わず笑みがこぼれ、リアに回るとクリフカットと呼ばれる切り立ったルーフにまた驚くというデザインをしている。そんな奇怪、いや、ユーモラスな佇まいの1968年式アミ6のオーナー近田直人さんとアミとの出会いは、2019年のこと。「シトロエン100周年展」の準備をしていた名古屋の自動車ギャラリー「アウト ガレリア ルーチェ」で初めて見て、その後SNS動画でヨーロッパの石畳を走るアミ6の姿に心を奪われた。

その後、ルーチェの企画展で流すイメージビデオのドライバーとして実際にアミ6のステアリングを握ってからはもうメロメロ(ご本人の表現)になったという。それからは、縁があったら乗ってみたいと周囲に話していたところ、すぐに友人が見つけてくれて手に入れたのだそうだ。

「それまで自分の手足のように走るクルマばかりに乗っていましたが、アミはめっちゃ遅いけど、幸せな気分にしてくれるんですよね。クルマにはこういう楽しみ方もあったのかと思いました。コーナリングでは、なるべく早く向きを変えて、立ち上がりでスロットルを入れてあげれば、ロールも消したスポーティな走りかたもできるんですよ」

じつはオーナーの近田さんは、アマチュアレースの最高峰であるクラブマンRS(単座席オープンレーシングスポーツカー)レースシリーズでは3度のチャンピオンを獲得しているだけでなく、鈴鹿インターナショナルポッカ1000km RSクラス(Gr.Cカーとの混走レース)でもクラス優勝やインターテックの経験もあるという、本気でモータースポーツに取り組んできた輝かしい実績の持ち主だ。

「アミ6で雨の中を走ればトランクに水は溜まるし、でもそれは古いクルマですので仕方ありません。そんなもんだと、ちょっとしたことでも楽しさに変換できるんですよ」

と、旧車のネガティブともいえる要素も魅力に感じているそうだ。

モータースポーツに携わってきた仲間と3人で遠州三河路をドライブ

ジーロ・ディ・三河~遠州は初回から参加していて今回で3度目だという近田さんの助手席で入念にコマ図をチェックしていたのは、富士スピードウェイの取締役や、スーパーフォーミュラの審査委員長などを歴任してきた、モータースポーツ界の重鎮・柘植和廣さんだ。前日に東京・有明で開催されたフォーミュラE東京大会で役員を務めた後、ここ旧多米小学校に駆けつけ、F1日本グランプリ前の束の間の休息を昔馴染みと一緒に楽しむという。

また、この時代のシトロエンならではのソファのような後部座席に座る鈴木陽一郎さんは、学生時代のダートラに始まり、ツーリングカーのN1やRSレースでの近田さんの仲間であり、鈴鹿インターナショナルポッカ1000km RSクラス優勝時のチームメイト。「コマ図は柘植さんに任せて、僕はサブのコ・ドライバーだから、後ろでゆっくりさせてもらうね」

と笑顔をみせてくれた。

それぞれの立場でモータースポーツに携わってきた40年来の仲間という3人組が、今回はゆったりと遠州三河路を楽しむというわけだ。とはいえ、そこは本気のモータースポーツ育ちのドライバー&コ・ドライバーである。

「おい、インカットし過ぎるから、補正と距離が合わないよ!」

と助手席の柘植さんにブツブツ叱られたりもしながらも、アミ6の車内で昔話に花を咲かせていた。

モータースポーツ一辺倒だった近田さんに、これまでとはまた違ったスローな楽しみ方を、製造から半世紀以上を生きてきたシトロエン アミ6が教えてくれたようだ。

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