お揃いのチームウェアでバッチリ! 気分はワークス参戦の祖父と孫のコンビ
愛知県豊橋市に唯一残る木造校舎の学校跡地で開催されたクラシックカーイベント「ジーロ・ディ・三河~遠州2024」。約70台の時代もスタイルもさまざまな個性豊かなクラシックカーたちの中で、祖父とお孫さんの2人で参加している「MG A」を発見。お孫さんはなんと、今夏で8回目のラリー参加というベテランでした。
ミッレミリア出場のワークスカーを徹底的に再現したMG A
「孫と一緒に参加するときは、キャスケットやヘルメット、バブアー、ツナギはお揃いでチーム感を出して楽しんでます」
という2人は「MG A」で参加していた加藤 剛さんと、スミス製のラリータイマーを首から下げたお孫さんの河合瑛斗くん。「じいじ(加藤さん)のお供は僕のお役目だから」と、今回で8度目のラリー参加だという。
イギリスらしい黒味がかった赤に身を包んだ、往時のコンペティション仕様を彷彿とさせる1955年式のMG A。もう30年の付き合いだという加藤さんの愛車は、1956年のミッレミリアに出場したワークスカー「MBL867」を隅から隅まで徹底的に再現している。
レスレストン・スターリング・モスのステアリングに、イエーガー製の5インチクロノメトリックタコメーター。ラリーのための装備もスミス製タイムオブトリップ、タグ・ホイヤー製オータヴィア、ハルダ製スピードパイロット&トリップマスターという、使用パーツは全てワークス御用達の希少な当時物のパーツで構成されている。
その徹底ぶりは現存するワークスカー「MBL867」のオーナーからも「Very Nice Finish」と評価され、故・小林彰太郎氏には生前、「ワークスカーよりワークスカーらしいね」との言葉をいただいたそうだ。
元がスウェーデン仕様の左ハンドルなので、そこはそのままに左右対称のワークスカーへと仕立てているのも、趣味の上級者ならではの遊び心のエッセンスがある。
もちろん外観だけではなく、ハイカムを使い圧縮比を高めたエンジンチューンやショックアブソーバーの中のオリフィスを改造しオイル流量を変更をして強化、ハンドリングの向上のためにキャンバー角度も調整済みと、走りに関してもよりスポーティに仕上げられている。
そうした脱帽もののセンスは、中部地域を拠点とした英国車クラブ「アルビオン」のメンバーだと聞いて納得させられる。
お孫さんのナビゲーションで三河~遠州をドライブ
ジーロ・ディ・三河~遠州2024では、ラリー形式でツーリングにおもむく車両たちがゼッケン順に並び、たくさんのギャラリーに見送られながら加藤さんのMG Aもスタート。直後には、線踏みと呼ばれるPC競技がある。設定された区間を10秒という設定タイムになるべく近づけて走る競技で、お孫さんがストップウォッチのタイムを読み上げ、それに従い加藤さんが測定ラインを目指しスロットルを調整する。
その後はコマ図の指示に従い、三河〜遠州路を周遊。途中には長篠設楽原の古戦場や新城大野宿を通り、浜名湖を経てふたたび、スタート/ゴール地点へと戻る。
「設楽原から大野宿までのワインディングは、木漏れ日の中、右へ左へ気持ち良いコースだったね」
と加藤さんが言えば、
「浜名湖がキラキラ反射していて綺麗だった」
と少しシャイな瑛斗くんがはにかみながら笑顔を見せる。8年後には免許の取れる年齢になる瑛斗くん、ドライバーとコ・ドライバーが逆転したMG Aが三河~遠州路を駆けるのも、もうあっという間の未来のことだろう。