M型エンジンを貫くトヨペット クラウン
「クラウン」といえば言わずと知れたトヨタの看板車ですが、現在ではディーラーとしてのみその名が残る、「トヨペット クラウン」と呼ばれた最後の世代を所有するのが、赤倉久雄さんです。公認改造車申請もしているものの、エンジンには並々ならぬこだわりがあるとか。手に入れてから36年ほどの付き合いになるという愛車を紹介してもらいました。
公認改造車申請してもチェーン駆動にはこだわる
2024年5月3日に新潟県糸魚川市で開催された「第19回クラシックカーミーティング」では、360cc時代の軽自動車や、他では見かける機会の少ない大衆車やセダンなどもバランスよく展示され、会場内はちょっとした自動車博物館のよう。その国産車勢の1台が、こちらの「クラウン」だ。
クラウンといえば言わずと知れたトヨタの看板車種。現行モデルは今までのセオリーを超えた攻めたデザインが話題だが、こちらは1967年から1971年にかけて生産された3代目クラウン、MS50系。現在ではディーラーとしてのみその名が残る、「トヨペット クラウン」と呼ばれた最後の世代でもある。
「自分のクルマは1970年式のスーパーデラックスです。手に入れたのが1988年なので、もう36年ほどの付き合いになります」
と語ってくれたのは、オーナーの赤倉久雄さん。
「現在の走行距離は28万8000kmほど。自分の手元に来てから走った距離は17万kmくらいになります」
というから、所有してきた時間軸を考えてもかなりの稼働率。このイベントには第1回目から参加の常連さんでもある。
「一度だけTE37レビンで参加したこともありますが、あとはずっとこのクラウンで。クラウンはこの他にも1台、色違いの前期型を所有しています」
というから、じつにトヨタ愛に満ちた趣味車生活だ。随分と走行距離も伸ばされて、このクラウンとの生活は順調なのですね?
「いや、クルマ自体は満身創痍ですよ。トランスミッションは2回オーバーホールして、現在は105(=5代目クラウン)の4速A/Tを移植して乗っています。事故にあったこともありますし。それでもなんとか動態保存を保っていきたいと思って、その都度修理してきました。いろいろと手を入れていった結果、現在は“公認改造車”です」
とのこと。同じ公認改造車申請をするならと、エンジンを後年の1GやJZに換装するオーナーもいるそうだが、赤倉さんは2代目から8代目まで、その系譜が続いたM型エンジン一族にこだわりたいという。
「エンジンだけは最後までM型でいきたいと思っています。タイミングベルトじゃなくてチェーン駆動が好きなものですから」
一見涼しげな佇まいの「旦那セダン」であっても、そのオーナーとクルマの間には熱いエピソードが数多く秘められているのだ。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)