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スズキ「アルト」のワンメイクレースが面白い! 14台がバトルする東北660「HA36カップ」開幕…接戦を制した勝者はだれ?

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATOKei)

  • 1クラス優勝の311号車 熱田行雲
  • 1クラス準優勝の314号車 岡野知大
  • 1クラス第3位の888号車 姉・珍
  • 1クラスの表彰式
  • 2クラス優勝の47号車 椎名栄一郎
  • 2クラス準優勝の113号車 阿部優翔
  • 2クラス3位の8号車 猪又真輝
  • 2クラスの表彰式
  • HA36カップはワンメイクらしい超接近戦が魅力。なお車両のポテンシャルはMTもAGSも変わらない
  • 他のカテゴリーより少し遅れて開幕したHA36カップ。今年も全3戦で残りはエビスサーキット西コースとスポーツランドSUGOだ
  • 今回は東北660選手権の第2戦、東北660ターボGPの第2戦と併催。エビスサーキット東コースのパドックが軽自動車で埋め尽くされた
  • Kレーシングから参戦の221号車 宮澤幸秀。今回はタイムが伸びなかったが、ドリフトの経験も豊富で今後の伸び代が楽しみなひとり
  • すっかりHA36の魅力にハマったサザンサーキット勢。今回は2名のドライバーが東北660選手権の4クラスとダブルエントリーした
  • 夫婦で同じAGSのマシンを使い、東北660選手権とHA36カップに参戦する983号車 小熊聖子。無事に2レースともチェッカーを受けた
  • 純正ECUの書き換えが認められているHA36カップだが、レブリミット変更はできないため、いい意味で戦闘力の均衡に貢献している
  • 東北でもっともHA36のデータを持っているであろうオートリサーチ米沢。ECUや足まわりなどさまざまなオリジナルパーツも発売中だ

HA36アルトワンメイクによる熱き戦いが開幕

軽自動車だけで争われるレースとして人気の東北660シリーズ。HA36型スズキ「アルト」だけで争われるのが、「HA36カップ」です。MT車のほか、2ペダル車のクラスも人気で多くのエントリーが集まりました。白熱のバトルが繰り広げられた、開幕戦の模様をレポートします。

1クラス:311号車熱田が圧倒的強さを披露

東北660シリーズの新カテゴリーとしてスタートし、早くも3年目のシーズンを迎えたHA36カップ。新規格NAの東北660選手権より改造範囲が狭められ、おまけにトランスミッションごとに最低重量も定められている。勝つにはドライビングとセッティングの能力が不可欠で、オフシーズンの間に走り込むエントラントも少なくない。

2024年6月30日にエビスサーキット東コースで行われた開幕戦、1クラスの注目株はオートリサーチ米沢のデモカーを駆る、フォーミュラカーのレース経験もある311号車 熱田行雲だ。学生時代から東北660シリーズに出場しており、軽自動車の扱い方はよく心得ているドライバーで、予選ではぶっち切りの1分20秒141をマークする。

この日の練習と予選・決勝を通じて1分20秒台は熱田ひとり。いずれも2番手に約1秒の差を付けるほどの独壇場だった。HA36カップが始まるだいぶ前から開発を続けている車両で、初年度から意図的に異なるドライバーを起用すると同時に、東北660耐久レースにも投入しデータを集めてきたという。オートリサーチ米沢を率いる安達代表によると、酷使の代償としてパワーダウンは否定できないが、誰が乗っても速く扱いやすい仕様になったとのこと。

そして2位は本来のドライバーが病欠のため、ターボGPと掛け持ちになった岡野知大だ。ぶっつけ本番とは思えないタイムと順位に驚かされたが、聞けばカートなどのレース経験は豊富に持っているという。

そして3位は大ベテランの888号車 姉・珍だった。予選では成長が著しい963号車 岡部皓輝が3番手で表彰台の一角を狙うも、走行中にボンネットのロックが外れオレンジボールを提示されてしまう。すぐピットインして対策のうえ再度コースインするも、ポジションを大きく落としリザルト上は最下位に終わってしまった。画像を確認するとスタート前のグリッドや、レースの序盤では間違いなくロックされていた。つまりほかのHA36アルトでも同じことが起きるケースは十分に考えられ、純正ボンネットでも社外のキャッチを併用したほうがよさそうだ。

2クラス:47号車椎名が3位スタートから嬉しい優勝

そして2ペダル車の2クラス。速さがMTと変わらないのはすでに実証されており、車両価格の安さもあり台数がどんどん増加している。その中でも注目したいドライバーは113号車 阿部優翔だ。

マイカーのホンダ「S660」でターボGPにフル参戦しつつ、2023年はレンタル車両で東北660選手権の4クラス、また助っ人として東北660耐久レースにもエントリー。今シーズンはHA36カップの初年度にチャンピオンを獲得したマシンを預けられ、練習走行から2023年の覇者である8号車 猪又真輝を上まわるタイムを連発した。

予選も猪又と約0.01秒差でポールポジションをゲットし、熱田と同じく初参戦での優勝を達成するかと思われた。しかし決勝は序盤でポジションを落としてしまい、3番手からスタートした47号車 椎名栄一郎が独走する。結果としては阿部と猪又に大きな差を付けて嬉しい初優勝。初年度から蓄積したノウハウがついに実を結んだといえるだろう。

47号車 椎名栄一郎

なお準優勝は阿部で、3位が猪又。予選タイムを見る限り3台の実力は伯仲しており、誰が勝っても不思議ではない状況だ。第2戦は10月27日のエビスサーキット西コース。冒頭で書いたとおり戦闘力の差がないだけに、勝利にはウデとデータが欠かせないレースだ。約3カ月のインターバルを有効に活用して、次戦で表彰台の真ん中に立つのは誰だろうか?

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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