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スズキ「アルト」のワンメイクレースが面白い! 14台がバトルする東北660「HA36カップ」開幕…接戦を制した勝者はだれ?

HA36カップはワンメイクらしい超接近戦が魅力。なお車両のポテンシャルはMTもAGSも変わらない

HA36アルトワンメイクによる熱き戦いが開幕

軽自動車だけで争われるレースとして人気の東北660シリーズ。HA36型スズキ「アルト」だけで争われるのが、「HA36カップ」です。MT車のほか、2ペダル車のクラスも人気で多くのエントリーが集まりました。白熱のバトルが繰り広げられた、開幕戦の模様をレポートします。

1クラス:311号車熱田が圧倒的強さを披露

東北660シリーズの新カテゴリーとしてスタートし、早くも3年目のシーズンを迎えたHA36カップ。新規格NAの東北660選手権より改造範囲が狭められ、おまけにトランスミッションごとに最低重量も定められている。勝つにはドライビングとセッティングの能力が不可欠で、オフシーズンの間に走り込むエントラントも少なくない。

2024年6月30日にエビスサーキット東コースで行われた開幕戦、1クラスの注目株はオートリサーチ米沢のデモカーを駆る、フォーミュラカーのレース経験もある311号車 熱田行雲だ。学生時代から東北660シリーズに出場しており、軽自動車の扱い方はよく心得ているドライバーで、予選ではぶっち切りの1分20秒141をマークする。

この日の練習と予選・決勝を通じて1分20秒台は熱田ひとり。いずれも2番手に約1秒の差を付けるほどの独壇場だった。HA36カップが始まるだいぶ前から開発を続けている車両で、初年度から意図的に異なるドライバーを起用すると同時に、東北660耐久レースにも投入しデータを集めてきたという。オートリサーチ米沢を率いる安達代表によると、酷使の代償としてパワーダウンは否定できないが、誰が乗っても速く扱いやすい仕様になったとのこと。

そして2位は本来のドライバーが病欠のため、ターボGPと掛け持ちになった岡野知大だ。ぶっつけ本番とは思えないタイムと順位に驚かされたが、聞けばカートなどのレース経験は豊富に持っているという。

そして3位は大ベテランの888号車 姉・珍だった。予選では成長が著しい963号車 岡部皓輝が3番手で表彰台の一角を狙うも、走行中にボンネットのロックが外れオレンジボールを提示されてしまう。すぐピットインして対策のうえ再度コースインするも、ポジションを大きく落としリザルト上は最下位に終わってしまった。画像を確認するとスタート前のグリッドや、レースの序盤では間違いなくロックされていた。つまりほかのHA36アルトでも同じことが起きるケースは十分に考えられ、純正ボンネットでも社外のキャッチを併用したほうがよさそうだ。

2クラス:47号車椎名が3位スタートから嬉しい優勝

そして2ペダル車の2クラス。速さがMTと変わらないのはすでに実証されており、車両価格の安さもあり台数がどんどん増加している。その中でも注目したいドライバーは113号車 阿部優翔だ。

マイカーのホンダ「S660」でターボGPにフル参戦しつつ、2023年はレンタル車両で東北660選手権の4クラス、また助っ人として東北660耐久レースにもエントリー。今シーズンはHA36カップの初年度にチャンピオンを獲得したマシンを預けられ、練習走行から2023年の覇者である8号車 猪又真輝を上まわるタイムを連発した。

予選も猪又と約0.01秒差でポールポジションをゲットし、熱田と同じく初参戦での優勝を達成するかと思われた。しかし決勝は序盤でポジションを落としてしまい、3番手からスタートした47号車 椎名栄一郎が独走する。結果としては阿部と猪又に大きな差を付けて嬉しい初優勝。初年度から蓄積したノウハウがついに実を結んだといえるだろう。

なお準優勝は阿部で、3位が猪又。予選タイムを見る限り3台の実力は伯仲しており、誰が勝っても不思議ではない状況だ。第2戦は10月27日のエビスサーキット西コース。冒頭で書いたとおり戦闘力の差がないだけに、勝利にはウデとデータが欠かせないレースだ。約3カ月のインターバルを有効に活用して、次戦で表彰台の真ん中に立つのは誰だろうか?

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