程度極上のR32を手に入れたばかり
数あるホイールメーカーのなかでも、作り手とファンを繋ぐオフ会(感謝イベント)を開催しているRAYS(レイズ)。2022年に富士スピードウェイで初開催された「レイズファンミーティング」は、第3回を迎えた2024年も全国から新旧RAYSホイールを履くクルマとオーナーが会場を埋め尽くし、好天の下、同じブランドを愛する同士が思い思いの時間を過ごしました。参加した約700台の中から、当時の雰囲気を色濃く残す日産R32型「スカイラインGT-R」を紹介します。
足元に履くのは鍛造ホイール界の名品「TE37」の元祖モデル
会場に到着して真っ先に目を奪われたのが、「GTP Touring Evolution(GTPツーリングエボリューション)」を履く2桁ナンバーの日産R32型「スカイラインGT-R」。このホイールはアフターマーケットにおいて、RAYSの名前を不動のものとしたボルクレーシングTE37(TE37のTEはTouring Evolutionの略)の前身となる鍛造モデル。当時のモータースポーツシーンを知る50代以上にとっては、思わず引き込まれてしまう懐かしの逸品だ。
さぞかし年配のオーナーが乗っているのだろうと待ち構えると、ドアから降りてきたのは20代の“かちゅ”さん。聞けば、ワンオーナーで乗り続けてきた父親から2023年に譲り受けたという。
「初めての愛車としてシルビアを買おうと200万円を準備していたのですが、父から“その費用でGT-Rを買ってよ”という思いもよらぬ提案があり、迷うことなく決めました」
現在R32 GT-Rの中古車相場は最低500万円~。しかも、ワンオーナーかつ車庫保管で内外装は極上の走行距離10万km以下となれば、金額はさらに跳ね上がる。しかも、そばで見てきたため履歴もはっきりしており、前オーナーがつねに隣にいてアドバイスをもらえる。環境を含めて、そんな極上車が200万円で手に入るとは何ともうらやましい。
GT-Rオーナーなら羨むR32 GT-R後期型生産第1号車
「自由に使えるお金も少ないので、今は維持するのが精一杯。なので、買ってから手は入れていません。父の話を聞く限りでは、購入後すぐにエンジンのピストンを交換し、ECUをリセッティング。排気系をフジツボに交換し、車高は程よくローダウン。ブレーキはBCNR33のブレンボを移植し、外観はGT-R NISMOのパーツをアレンジしたとのこと。いわゆる当時仕様という仕上がりで、メンテナンスしながら、ほぼそのまま30年乗り続けてきたそうです」
また、愛車は後期型(1993年1月〜)の生産第1号車。巡り巡っての偶然だというが、GT-Rオーナーとしてちょっと自慢できるポイントだ。こうしたちょっとしたことがクルマへの愛着、愛情を高めてくれる。
外観は写真を見てわかるとおり、長年愛情が注がれてきたことがわかる抜群のコンディション。その分、ステッカーの剥がれたホイールが気になるそうで、歴史を重ねてきた証を残すのも悪くないが、リペアステッカーも存在するので、リフレッシュしたい思いもあるそうだ。
父のクルマが届いたら一緒にツーリングに出かけたい!
「初めてクルマ仲間に見せたときは、当たり前ですが“これ本物?”と言われ、ボンネットを開けてエンジンを見せましたね。幼いころから助手席に乗ってきましたが、自分で運転するのは別次元。踏めばめちゃくちゃスピードが出るし、高速域での車体の安定感は抜群。いつ乗っても楽しく、現状で何ら不満はありません」
サーキットで存分に走りたい思いもあると語るが、このような状態のいい個体はもう二度と出てこないので、壊してしまったりぶつけられるのが心配と二の足を踏んでいる。
「今後はもう少し車高を下げたい。ただ、車高調キットはあまり好きではないのでHKSハイパーマックス・タイプGなどノーマル形状のサスキットが候補です。あとは、表面が剥げたキャリパーのリペアなど、現在のコンディションをより良い状態にアップデートしながら、生涯乗り続けていきます」
今後は父親のマツダ「ロードスター」が届いたら、一緒にツーリングに出かけたいと語る“かちゅ”さん。GT-Rオーナー歴はまだ始まったばかりだ。先輩である父親の思いも引き継ぎながらR32 GT-Rとともに新しい歴史を重ねていく。