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ホンダ「S800」など乗り継いだ元ホンダディーラーマンが最後にたどり着いたのは「カニ目」でした…なぜオースチン・ヒーレー「スプライトMK.1」を選んだ?

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循(NAGAO Jun)

  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1のオーナーの石田 浩さん
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:まるで当時のカタログから抜け出てきたような清楚な佇まいが魅力的である
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:2010年に入手し、前オーナーのもとでフルレストア済み
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:ボディと同色のグリーンで設えられたインテリア
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:グリーンのインテリアに映えるウッドステアリング
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:水冷直列4気筒OHVエンジンを搭載
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:43hpを発揮するエンジン
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:非力なエンジンながら軽量ボディと4速MTで軽快な走りを実現した
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:フェンダーごと大きく開くフロントカウル
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:なめらかな曲線を描くリアスタイル
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:カニ目と呼ばれるファニーフェイスが特徴のフロント
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:矢印がデザインされているSPRITEのエンブレムを装着する
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:ホイールセンターにはAHのロゴが入る
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:ブランド名とスプライトのロゴを配置した紋章
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:このクルマでツーリングやイベントに参加して楽しんでいるという
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1と、オーナーの石田 浩さん
  • オースチン・ヒーレー スプライトMk.1:姉妹車のMGミジェットとともに世界中のスポーツカー・ファンを魅了した

「カニ目」の名で親しまれる歴史的名作

愛嬌あるファニーフェイスで、わが国では「カニ目」という愛称で親しまれているオースチン・ヒーレー「スプライトMK.1」。このクルマを所有するのが、以前はホンダのディーラーにも勤め、ホンダ「S800クーペ」にも乗っていたという石田浩さんです。ライトウェイト・スポーツカーを愛するオーナーに愛車を紹介してもらいました。

ライトウェイト・スポーツカー愛好家がカニ目に辿り着いた理由とは

2024年5月3日に新潟県糸魚川市で開催された「第19回クラシックカーミーティング」では、参加した46台のヒストリックカーの内訳は国産車が18台、ドイツ車とイタリア車がそれぞれ6台ずつ、アメリカ車が1台、そして残りの15台が、国産車に次ぐ参加台数となった英国車というラインアップ。その英国勢の中でも数的に主流なのはミニやMGなど、やはりBMC系の各モデルだ。

その愛嬌あるファニーフェイスから英国本国では「Frog Eye」、わが国では「カニ目」という愛称で親しまれているオースチン・ヒーレー「スプライトMK.1」も今回は2台が参加。そのうちの1台は糸魚川クラシックカークラブの宇多川和明会長の愛車、そして今回ご紹介するもう1台のカニ目がこちら、妙高市から参加の石田 浩さんの愛車である。まるで当時のカタログから抜け出てきたような清楚な佇まいが魅力的である。

「このクルマを手に入れたのは2010年です。前のオーナーがフルレストアしていたので、入手した時の程度は良かったです。傷んでいたフロアなども新しく張り替えていますし」

と語る石田さんは、若かりし頃はモトクロス競技にも参戦していたという実践派。会社員時代はホンダのディーラーに勤務し、かつてはホンダ「S800クーペ」に乗っていたという。

「その後、MG 1300やMGミジェットなどを経て、このカニ目に辿り着きました」

エスハチも日本が誇るマイクロスポーツだと思いますが、なぜ最後はカニ目に?

「多くの人が言っているように、やはりライトウェイト・スポーツカーのお手本だから、という点に尽きるのではないでしょうか」

MGミジェットと共に世界中のスポーツカー・ファンを魅了した

当時英国最大の自動車メーカーだったBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)が、自社の大衆車のコンポーネンツを巧みに流用し1959年にデビューさせた小さなスポーツカー、オースチン・ヒーレー スプライトMK.1。パーツ流用の妙により、安価で手軽、しかしボディ剛性を考えトランクの開口部も開けなかった(荷物の出し入れは室内のシートの裏から!)という、名エンジニア、ドナルド・ヒーレーの手による本格スポーツカーとしての妥協を排した設計。後年追加された姉妹車、MGミジェットとともに世界中のスポーツカー・ファンを魅了した小型軽量スポーツカーの偉大なるマイルストーンとなった1台である。

「最近はマイペースでツーリングやイベントへの参加を楽しんでいます」

と語る石田さん。何台もの趣味のクルマを乗り継いできた石田さんが辿り着いたのがノーマルのカニ目だったという心境、まさに我が意を得たりであります。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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