アウトドア派に支持されてきたエクストレイルは4代目で電動化
夏だ! 休みだ! アウトドアだ! というわけで、AMW編集部ではサイズもジャンルも異なる4台のクルマを持ち寄り、編集部員がそれぞれのキャンプスタイルをレポートします。第1弾は、2022年に4代目となった日産「エクストレイル」。シリーズハイブリッドの「e-POWER」モデルのみとなり、タフギア感に上質さをプラスしたSUVへとキャラ変した現行型ですが、今回注目したのは、日産車で初めて採用されたAC100V/1500W電源です。
アウトドアで「グランツーリスモ」をやったら楽しいかも?
まず前提となる筆者のアウトドアレベルをお伝えしておくと、キャンプ歴は10年少々で、コロナ禍までは年2~3回。ソロキャンサイズのテントやタープ一式は持っているものの、自分でアウトドア料理をすることはほぼなくて、酒やツマミを手土産に、本格派な友人知人のサイトにジョインするというコバンザメ派だ。
その一方、ゲームっ子世代なので『グランツーリスモ』シリーズの歴は長く、初代からほぼ全タイトルをプレイしてきており、折り畳み式ゲーミングチェアとハンドルコントローラーまで家に常備しているほど。ただし下手の横好き系で、最近はクルマのカラーリングやステッカーなど(リバリー)をイジったり撮影モードを楽しむのが中心だが……。
今回のAMWキャンプ企画を行った長野県小諸市のキャンプ場「ウィスラー スカイベース小諸」は、BBQセットや食材セットも用意されていて、テントや寝袋もレンタル可能。なんなら手ぶらで行っても楽しめる、至れり尽くせりの施設だ。
しかし自分が用意した広報車は、現行型「エクストレイル オーテック e-4ORCE アドバンスドパッケージ」という、日産の国内SUVラインアップの中で最上級の全部のせモデルだ。大容量すぎて、テントや寝袋や折り畳みチェアを積んだくらいでは全然スカスカで、なんだかもったいない。
そこで以前から漠然と考えていた、「アウトドアでグランツーリスモをやったら楽しいかも?」という妄想を実践してみることにした。というのも、この4代目エクストレイルでは日産車として初めて、AC100V/1500Wの電源が装備されるようになった(グレード別設定)からだ。
e-POWERのターボ化は静かで上質な走りのために
2022年に4代目となったエクストレイルではパワートレインを日産独自のシリーズハイブリッド「e-POWER(イーパワー)」に一本化。そして発電を担当するエンジンが「VC-TURBO」の名でターボ化されたことも見逃せないポイントだ。
これまでe-POWERでは、高速道路をハイペースで走行しているときや長い上り坂など、電力消費が激しい状況では発電用エンジンがつねに高回転で「ビビビー」と唸り続けていることになっていた。耳ざわりでもあり、せっかくの最新モデルでもプアな印象を受けてしまうのは免れなかった。
このエクストレイルに乗ってみると、そういったe-POWERのネガが排除されていて、車重1880kgの大柄なボディを難なくスムーズに走らせることができる。多少アクセルを踏み込めばエンジンが頑張って発電している音と振動は伝わってくるが、車内の会話をさまたげたり、ラジオの声が聞きにくくなったりすることはない程度だ。プロパイロットを活用することで、高速道路の移動はいたって快適だ。
くわえて、電動4WDの「e-4ORCE(イーフォース)」が前後モーターを賢く制御してくれるおかげで、コーナリングが続く山道でもなめらかに走ることができ、ボディサイズのデメリットも感じさせない。
とくに今回はプレミアムなオーテック仕様だったこともあり、走りの性能においても雰囲気においても、タフギア感より、上質なSUVとして進化していることを痛感させられた。
ガソリンがある限り電力供給が可能! ただしマナーに要注意
小諸ICを降り、地元スーパーのツルヤで買い物をしてウィスラー スカイベース小諸に乗り込むと、他のサイトには初代エクストレイルと2代目エクストレイルの姿が。アウトドアシーンでエクストレイルはしっかり定番として愛されているのだ。
さっそく自分の寝るテントを設営したら、『グランツーリスモ』用のセッティングだ。自宅から持参した折り畳み式ゲーミングチェアを展開し、テレビとプレステを接続する。エクストレイルのAC100V/1500Wの電源コンセントはラゲッジルームの左側に備わっていて、ここにコンセントをつなげばOK。あとは、ダッシュパネルの運転席右側にある「AC ON」スイッチを押せば電源として使用可能だ。
今回はテレビとプレステなので使用電力は大したものではないが、電気ポットやコーヒーメーカー、ホットプレート、電気ストーブ、電子レンジ、冷蔵庫など、主だった家電品はだいたい使うことができるはず。
エクストレイルのリチウムイオンバッテリーの容量は1.8kWhなので、1500W電源を備える他社SUV、例えば三菱「アウトランダーPHEV」の20kWhと比べると小さく思える。しかし、シリーズハイブリッドであるe-POWERの利点として、エンジンをかけて発電させれば、理論上はガソリンを使いきるまで電力供給が可能だ。災害など非常時の電源として、とても心強い機能といえるだろう。
ただしキャンプ場では、ずっとエンジンをかけておくのはマナー上、大いに問題がある。とくに夜間は大迷惑だ。センターコンソールのEVモードスイッチで「マナー(EV)」モードにすることでギリギリまでエンジンが始動しないように設定できるので、なるべく、キャンプ場に着く前に「チャージモード」を活用して、バッテリー容量を増やしておくことをお勧めする。
野外グランツーリスモ、楽しめる時間帯が超狭い!
いよいよ満を持してプレステを起動し、『グランツーリスモ』を立ち上げる。ハンコンとの接続も問題なしで、ゲーミングチェアに座ってみた。すると……TV画面への写り込みが激しすぎてほとんど見えない! 輝度を上げても焼け石に水。ピーカンの夏空の下、空の写り込みもさることながら、周囲との明暗差が激しすぎるのだった……。
日が落ちかけるまで待ってリトライすると、どうにかプレイできるようになった。今回はインターネット接続まで設定せずにアーケードモードで、慣れ親しんだNDロードスター×筑波を周回。高原のさわやかな空気の中、スキール音を響かせながらヘアピンを駆け抜けるのもなかなかオツなもの。もうちょっと時間があれば、もっと雰囲気の近いコースを探すのもアリだろう。
せっかくの機会なのでと編集部の若手にも走ってもらうと、あっさり自分より良いタイムを出されて、ビミョーな気持ちになりつつ……。あたりがすっかり暗い「夜」になると、今度はTV画面が真っ暗なキャンプ場では明るすぎて、周辺のサイトの皆さんにも雰囲気を壊して迷惑になりそうなので電源オフに。
結論として、夏のキャンプ場で野外「グランツーリスモ」を楽しめるのは、夕暮れ時だけであった。もっと明るい屋外用ディスプレイを用意すれば別かもしれないが……プレイ環境の快適性と、周囲へのマナーを両立するベストな方法は、VRヘッドセットを使うことだろうか。いよいよ本末転倒な、アウトドアでわざわざ引きこもるような絵面になってしまうのがちょっと難点だけれども。
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キャンプ場で『グランツーリスモ』はイマイチだったが、この季節でいえば、たとえば耐久レースのピットにエクストレイルをサービスカーとして持ちこんで、本レースと並行してバーチャルレースに興じる、といった遊び方は楽しいかもしれない。
最後に、アウトドアでのTVやオーディオやゲームは、キャンプ場ごとのルールを順守した上で、回りに迷惑にならないように十分に配慮するよう、くれぐれもお気をつけを。
■施設情報
【ウィスラー スカイベース小諸】
所在地:長野県小諸市甲4444-1
TEL:0267-46-8786
URL:https://www.officekaruizawa.com/bbq-1
予約はこちら
■Nissan X-TRAIL AUTECH e-4ORCE Advanced Package
日産 エクストレイル オーテック e-4ORCE アドバンスドパッケージ
・車両価格(消費税込):533万2800円
・全長:4675mm
・全幅:1840mm
・全高:1715mm
・ホイールベース:2705mm
・車両重量:1880kg
・発電用エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
・排気量:1497cc
・エンジン配置:フロント
・駆動方式:4WD
・変速機:CVT
・発電用エンジン最高出力:106kW(144ps)/4400-5000rpm
・発電用エンジン最大トルク:250Nm/2400-4000rpm
・フロントモーター最高出力:150kW(204ps)/4501-7422rpm
・フロントモーター最大トルク:330Nm/0-3505rpm
・リアモーター最高出力:100kW(136ps)/4897-9504rpm
・リアモーター最大トルク:195Nm/0-4897rpm
・公称燃費(WLTC):18.4m/L
・燃料タンク容量:55L
・ラゲッジ容量:575L
・サスペンション:(前)ストラット、(後)マルチリンク
・ブレーキ:(前&後)ベンチレーテッドディスク
・タイヤ:(前&後)255/45R20 101V