LA中心部を走るルート66のすぐ近く、映画史に残る名場面のロケ地を訪ねて
広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。シカゴから西に向かいカリフォルニアへ、いよいよ旅も終盤です。今回はロサンゼルスに突入し、映画好き、クルマ好き、航空機好きにイチ押しのスポットを紹介します。
映画『ブレードランナー』の名シーンが撮られたブラッドベリー・ビルディング
美しいコロラド・ストリート・ブリッジを渡り、旅はいよいよ最終盤のロサンゼルスに突入する。ルート66は「シカゴからロサンゼルスまで」と表現されることもあるが、本当の終点というか西側の起点はさらに西へ進んだ海沿いのサンタモニカだ。ロサンゼルスのダウンタウンにルート66が通っていたのは初期にあたる1926年~1939年で、7thストリートとブロードウェイの交差点には「ロードサイド・アトラクション」の看板もある。交通量が多いので観光するならクルマを駐車場に停め、付近のスポットを含め徒歩でまわるのがベターだろう。
個人的なオススメは先の交差点から北東へ徒歩10分、1893年に建設されたブラッドベリー・ビルディング。外から見ただけでは周囲の風景に埋没した古いビルだが、内部は剥き出しのエレベーターに木製の階段が設けられ、天井はガラス張りでアメリカ西海岸らしい青空が広がる。
もっともイチ押しする最大のポイントはそこじゃない。ブラッドベリー・ビルディングが有名になった理由は1982年に公開された、映画史に燦然と輝くSF映画の金字塔『ブレードランナー』のロケ地だからだ。とくに主人公であるリック・デッカード(ハリソン・フォード)と、ロイ・バッティ(ルトガー・ハウアー)が決闘するラストシーン。観たことがない人のためにネタバレになりかねない詳細は控えるが、小学生だった自分ですら震えるほどの衝撃だったことを覚えている。
また日本人にとっては、吹き抜け窓を見上げるシーンに登場する、上空の飛行船に描かれた「強力わかもと」の広告も印象的だ。1階だけなら入居するオフィスの関係者ではなくとも入れるし、同じ目的の観光客も多いので、ぜひ映画を観てから行ってみよう。