イギリスのみに用意された1000台限定のモデル
インプレッサ P1は初代の2ドアモデルをベースに、UK専用モデルとしてプロドライブが仕立て上げたもので、限定1000台が生産されている。プロドライブが組み上げた足まわりはイギリスのBロードを念頭に置いたそうだが、このBロードというのはイギリス国内で3つに区分される道路のうち、ある意味もっとも重要度の低い道路。Eで始まるものがいわゆる高速道路、そしてAで始まるものは主要幹線道路。Bはその主要幹線道路と集落を結びつけるような道路のことを言い、Bロードは最も路面が荒れて、ワインディングが多く、裏を返せばP1のようなクルマが走って楽しい道路ということになる。
1000台すべてのP1は、日本でもおなじみのブルーマイカの外装色。そしてアンスラサイトの17インチOZレーシングホイールが標準装着される。その2ドアのボディは空力を考慮してピーター・スティーブンスが手直しをした。イギリス人のカーデザイナーである彼は、イギリスのスポーツカー畑を長年歩んできたデザイナーで、1980年代にはロータスで、M100型「エラン」をデザイン。その後ジャガーに移り「XJR-15」を手がけた。そして1990年代はマクラーレンのチーフデザイナーとして辣腕を振るい、あの「マクラーレンF1」も彼の手によるものである。その彼が手がけたのは、前後のスポイラーなどのデザイン。リアのウイングにはP1の文字が入れられている。
プロドライブが施したチューニングはまずエンジン。イギリス国内のスタンダードなターボエンジンに対して69bhpアップの280bhpを絞り出す2Lフラット4を搭載(エンジンナンバー902395)。トランスミッションは5速のマニュアルだが、ギア比はより高速向けのものに変更している。
メンテナンスがしっかり施された1台
今回の出品車はシリアルナンバー「961/1000」ということで最後期に作られたモデルである(シャシーナンバー:JF1GM8KDGYG003390)。コンディションは素晴らしく、比較的最近エンジンのリフレッシュが断行され、新しいケブラー・カムベルト、新しいウォーターポンプ、リアディファレンシャル・シールを装備。ディファレンシャルとギアボックスを含むすべてのフルードはミラーズ・オイルを使用して交換されているという。またブレーキシステムも洗浄され、RBF 600 高性能フルードが補充され、アライメント取りも完了している。
加えて、ターボチャージャーがアップグレードされ、ロジャー・クラーク・モータースポーツの軽量フライホイールとプーリーセット、フロントマウントのインタークーラーとオイルクーラー、さらにアップグレードされたインジェクター、3ポイント・ブースト・ソレノイド・バルブなど、ファインチューニングも行われている。ちなみにロジャー・クラーク・モータースポーツは、1960年代から1970年代のラリーシーンで大活躍したラリードライバー、ロジャー・クラークが設立したショップ。彼の死後も息子のマットとオリーが経営を引き継ぎ、今はスバル インプレッサのチューニングではイギリスを代表するショップである。
サービスブックをはじめとした履歴は全て残されており、オリジナルのリアライトクラスターも残されていて、車両とともに購入者に引き渡されるという。エスティメート(予想落札価格)は4万英ポンド〜4万5000英ポンド(約816万円〜918万円)だったが、落札されずにそのまま販売継続となっている。