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当時モノ定番アイテムでカスタムして725万円!「ミニといえばクーパーS」ですがオースティン「ミニ クーパーS Mk II」ならまだ手が届く!?

当時モノ定番アイテムでカスタムして725万円!「ミニといえばクーパーS」ですがオースティン「ミニ クーパーS Mk II」ならまだ手が届く!?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

現役当時の定番パーツでまとめた、センスの良いクーパーS Mk II

今回RMサザビーズ「The Dare to Dream Collection」オークションに出品されたオースティン ミニ クーパーS Mk IIは、もともと輸出用として生産された左ハンドル仕様車だった。

BMCグループ各ブランドの記録を司る「ブリティッシュ・モーター・インダストリー・ヘリテージ・トラスト(BMIHT)」の発行した証明書によると、日本のミニ愛好家の間では「ナス紺」とも呼ばれる「アイランド・ブルー」と、「スノーベリー・ホワイト」のルーフによる2トーン外装。ブラック内装の組み合わせで、1969年2月25日にラインオフしたとのこと。

オリジナルの販売明細書のコピーによると、1969年7月15日にカナダ・ブリティッシュコロンビア州ヴィクトリアの「ホーウッド・ブラザーズ・モーターズ」社から新車としてデリバリーされたもので、そのエンブレムが車両後部に残っている。

のちにセカンドオーナーがまとめた履歴によると、このミニ クーパーSのファーストオーナーもブリティッシュコロンビア州在住で、41年間にわたってこのクルマを所有していたものの、後半の20年間は車庫保管されたままだったという。

そのため、同じくブリティッシュコロンビア州に住む2代目オーナーはオリジナルの仕様に戻すため、クラシック・ミニの専門家やパーツサプライヤーたちと協議しつつ、2011年から段階的なアプローチでボディまわりおよびメカニズムのレストアに着手した。

その修復プロセスは2012年まで続き、ミニ・スペシャリストが、このナンバーズマッチのエンジンをベースとしながら、レース仕様パーツを駆使してフルリビルド。さらに、レザーの「コルビュー」社製バケットシートや「ミニライト」スタイルのアロイホイールなど、このモデルの現役時代からミニの定番とされてきたアフターマーケットパーツで補強が施された。

くわえてこのとき追加されたのは、車高調整を可能とするサスペンション「Hi-Loキット」、クイックシフト・キット、追加ダッシュボードと補助メーター、4連のドライビングライト、スキッドプレートなど、性能やハンドリング、信頼性も向上させるパーツ。それらは同時に、きわめてセンス良くまとめられている。

そしてこのレストアが終了したのち、2012年末に「The Dare to Dream Collection」が入手したこのミニ クーパーSは、完全に改装された状態で良好な保存状態を保っており、部分的に穏やかな「パティナ(軽度の傷や退色)」が見られるものの、それ以外はほとんど使用された形跡がないという。また、オークション公式ウェブカタログ作成時のオドメーターは2万7523マイル(約4万4000km)を表示していたが、このメーターが新車として生産された際から受け継がれたオリジナルかどうかは不明とのことであった。

膨大なヒストリーファイルも付属される

今回のオークション出品に際しては、オリジナルの販売明細書にBMIHT証明書、1970年までのサービス請求書、レストア時の写真、純正オーナーズマニュアル、2011年以降に行われたすべての作業に関する詳細な解説資料を含む、膨大なヒストリーファイルも、ともに提供されることになっていた。

そして、このなかなか魅力的なミニ クーパーS MK IIについて、RMサザビーズ北米本社は4万ドル~5万ドル(約597万円〜約746万円)という、かなりの自信をうかがわせるエスティメート(推定落札価格)を設定したのだ。

ところで、今回の「The Dare to Dream Collection」オークションは、すべて「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」形式で行われるというのが前提条件。したがって、たとえ入札が希望価格に到達しなくても落札されてしまう可能性もある。

しかも、エスティメートの段階からけっこう高価だったこともあって、「リザーヴなし」ではしばしば起こりうる安価な落札もオーナー側では危惧しただろうが、競売が終わってみればエスティメートの想定内に収まる4万7040ドルで落札されるに至った。

すなわち、現在のレートで日本円に換算すれば約725万円。現在の慢性的な円安の為替レートを加味してもなお、近年の日本のクラシックカー市場で散見される1000万円超えのミニ クーパーSよりはリーズナブル……? と見る向きもあるかもしれない。

しかし、世界的にもっとも高値で取引されるクーパーSは、ローバー ミニを含むのちの世代のミニをベースに、わざわざレプリカ仕様が製作されるほどに人気の高い「MK I」がほとんど。

だから今回のハンマープライスは、現在の国際マーケットにおけるMK IIとしては、ハイエンドに近いものと考えられるのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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