驚異的な業績を残したタイプ35の100周年が祝われた
当時の最も過酷なロード競技であるイタリアのタルガ・フローリオでは、ブガッティ タイプ35の星は最も明るく輝き、1925年から1929年にかけての5連勝は、1977年に最後のタルガ・フローリオが開催されるまで破られることのない記録である。これは非常に驚異的なモータースポーツの業績であり、5月にシチリアで開催されたインターナショナル・ブガッティ・ミーティング2024では、ブガッティの歴史的モデルが多数参加し、このタイプ35モデルの100周年が祝われた。
このような功績は、ブガッティを象徴するモデルがいかにレースやロードカーのデザインに革新的な時代を巻き起こし、メーカーがより速いクルマの開発を急ぐ中、モルスハイムからタイプ35のスーパーチャージド・バリエーションを含むさらなる創意工夫が生まれたかを表している。
そして先日、100周年の記念日である2024年8月3日に合わせて、ブガッティ・オーナーズ・クラブUKは、タイプ35を含む歴史的に重要なヴィンテージ・ブガッティの数々でイギリスから出発し、1924年にリヨンで開催されたサーキットのオリジナル・ルートを目指した。イギリスからリヨンへ向かう途中、彼らはヘレ・ニースに敬意を表し、サン・メスメにある彼女の墓を訪れた。ニースとエリザベート・ユネックは、タイプ35を象徴する女性レーサーであり、タイプ35の世界的な知名度をさらに高めた功労者である。
タイプ35と最新モデルを繋ぐものとは
1924年8月3日を境にブガッティの運命は永遠に変わった。今日でも、世界で最も成功したレーシングカーの影響はブランド全体に波及している。
現在アトリエで組み立てられているサーキット専用のブガッティ「ボライド」は、タイプ35の軽量化に集中したデザインから直接インスピレーションを得ている。
俊敏性を核とした2シーターオープントップカー、「ミストラル」もタイプ35からインスピレーションを得ており、ブガッティに新たな時代をもたらす「トゥールビヨン」もタイプ35からインスピレーションを得ている。タイプ35のエレガントで幅の狭い機体は、トゥールビヨンのフロントデザインの大きなインスピレーションの源となり、その名高い敏捷性と無敵のパフォーマンスは、トゥールビヨンのキャラクターに注ぎ込まれている。
2台のクルマは100年以上の時を隔てながらも、ブガッティを特徴づけてきた革新と絶え間ない改良の精神で結ばれている。
AMWノミカタ
ブガッティの成功は革新的な技術と絶え間ない改良の歴史だったと言える。タイプ35が登場する1年前の1923年に製造された通称「タンク」と呼ばれる「タイプ32」はモータースポーツ界にエアロダイナミクスという考えをもたらしたクルマだった。レーシングカーにとって空力の重要性を説いたこのモデルは最終的にフランスGPで3位に入り、平均速度114km/hを記録した。
タイプ35もその後A、T、C、Bとその目的に合わせた改良が継続的に行われ、とくにタイプ35Cではスーパーチャージャーなども導入され1926年のミラノGPで優勝を飾っている。
さすがに100年前の機能を現代に受け継ぐことはないが、ボライドもミストラルもトゥールビヨンも無形の精神性を受け継いでいるという。美しく、速く、強いタイプ35はブガッティの今後のあり方を明示したゲームチェンジャーであり、未来においてもすべてがここに立ち帰るブランドの支柱となるモデルなのであろう。