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フェラーリ「250GTルッソ」を「250GT」風にカスタムした車両が2億2300万円も…ファントゥッツィによるモディファイと聞いて納得です

フェラーリ「250GTルッソ」を「250GT」風にカスタムした車両が2億2300万円も…ファントゥッツィによるモディファイと聞いて納得です

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

Top Gearでおなじみクリス・エヴァンスが一時所有したヒストリーも

こうして唯一無二の存在となったこの250GT/Lルッソだが、完成から数年後の1968年にはアメリカのニューヨークへと輸出。また5年後に、再びニューヨーク市内で販売された。さらに1976年、テキサスを拠点とするフェラーリ愛好家のもとに譲渡。新しいオーナーは、フロントグリルの上に250GTOスタイルのエアインテークを3つ、リアホイールアーチの後方にも250GTOからインスピレーションを得たと思しきエアベントを追加したうえで、ボディカラーを赤く再塗装した。

翌年、新たなオーナーによってこの個体はホノルルに運ばれ、その後28年間をハワイで過ごすことになった。2005年、ルッソはアメリカ本土に戻り、サンフランシスコを拠点とする新しい所有者が、その年の「モントレー・カーウィーク」に展示している。

そして2011年、シャシーナンバー4383は英国に送られ、世界的に著名なフェラーリスペシャリスト「DKエンジニアリング」でフルレストア。いわゆる「コンクールスタンダード」のもと、250GTOの金型と図面が正確に縮尺され、ワンオフのアルミ製ボディワークも忠実に仕上げられた。この車両は翌年にもDKエンジニアリングに戻され、メカニカルなリビルドが施されるとともに、クラシックなフェラーリ・レッドにタン革のインテリアで仕上げられた。

その後、2013年に開催された「フェラーリ・オーナーズ・クラブGB」の年次総会で「ウォルトンホール」に展示されたあと、フェラーリの熱心なコレクターであるラジオ/テレビ放送作家兼司会者のクリス・エヴァンスに売却されたが、ほどなくクラシック・フェラーリ専門店の世界最高峰と評される英「タラクレスト」社を介して、今回のオークション出品者でもある現オーナーの手に渡ることになった。

そして2015年には「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」の「カルティエ・スタイル・エ・リュクス・コンクール」の芝生広場に展示されたほか、「グッドウッド・リヴァイヴァル」内の「アールズコート・モーターショー」復活イベントでも、フェラーリへのトリビュート展示「シーイング・レッド」の一部として登場した。

この250GTルッソは現在でも「GTOエンジニアリング」によって継続的にメンテナンスされ、多くのインボイスが保管されている。1960〜1970年代のレースシーンにおける重要なキーパーソンがオリジナルオーナーであったにとどまらず、最近では英国でもっとも有名なメディアパーソナリティのひとりであるエヴァンスによって所有された時期があるなど、説得力のある継続的な歴史を誇っている。

今回の出品に際して、RMサザビーズ欧州本社では「この250GT/Lベルリネッタは、ファントゥッツィが手がけた初期のボディワークにより、すでに特別な希少モデルとなっており、真にユニークなオーナーシップの提案となっている」という謳い文句を添えて、110万ポンド~150万ポンド(約2億1700万円〜2億9600万円)という自信たっぷりのエスティメート(推定落札価格)を設定した。

そして迎えた競売では、エスティメートの範囲内に辛うじて収まる113万ポンド。すなわち、現在の為替レートで日本円に換算すれば約2億2300万円という落札価格で、競売人のハンマーが鳴らされることになったのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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