かつてF1タービンと呼ばれた最強の過給機で武装
タコ足のようなインテークパイプに目を奪われるエンジンルームは本体がボアをオーバーサイズのφ87mmに変更しつつコンロッドを強化品するとともに、パワーを引き出すために重要なシリンダーヘッドはフル加工が施された。
ウォーターポンプを電動化するなど各部の駆動ロスを抑えながら、かつてF1タービンと呼ばれたIHIのRX6タービンを2基掛けすることでパワーは1000psに到達。マネージマントはAPEXiのフルコンであるパワーFCが受け持っている。排気量は拡大していないので、低速トルクはやや細いものの、高回転域で炸裂する暴力的な加速感は一度体験すると元に戻れない魔力があると語る。
そのパフォーマンスを支えるため、前後のブレーキはアメリカのSTOPTECH製に交換済み。ホイールは定番のTE37と悩んだが、装着当時に軽量と剛性を追求したVOLK RACING ZE40を選択した。サイズは今や廃番となった最大幅の11J×18 IN15で、これにヨコハマのSタイヤであるADVAN A050(295/35ZR18)を組み合わせた。ここまでしないと日産自慢の四駆システム・アテーサE-TSをもってしても1000psを受け止めることは難しいようだ。
インテリアは走ることだけに集中できる環境を構築
コクピットに目を移すと、純正のMFD(マルチファンクションディスプレイ)を廃止し、複数の大型サブメーターがメーターフードを囲むようにレイアウトされている。これは超高速域における視認性を考えてのことだ。
ダッシュボード貫通の8点式ロールケージを組むとともに、ドアまわりはスポット増し。フェンダー内にも補強プレートを追加するなどボディ補強も徹底している。シートはレカロのコンペティションモデルであるRMSをセットするとともにリアシートを取り外すなど、走ることに集中する環境は整えている。
オーナーの情熱と友人の技術が融合した結果、ユニークで高性能な1台に仕上がったR34。近年では見かけることが少なくなってしまった仕様だが、これもGT-Rを楽しむひとつの形。イリーガルな雰囲気に満ちた魅力溢れる仕上がりだ。