パフォーマンスだけでなく、ビジュアルもオンリーワン!
数あるホイールメーカーのなかでも、作り手とファンを繋ぐオフ会(感謝イベント)を開催しているRAYS(レイズ)。富士スピードウェイで開催された「レイズファンミーティング」は、第3回を迎えた2024年も全国から新旧RAYSホイールを履くクルマとオーナーが会場を埋め尽くし、好天の下、同じブランドを愛する同士が思い思いの時間を過ごしました。参加した約700台の中から、オーラのあるR34日産「スカイラインGT-R」を紹介します。
現役ハードマシンならではの異才オーラが半端ない!
今となっては中古車相場が最低でも1000万円は下らない日産BNR34型「スカイラインGT-R」。大事に長く乗り続けたいと思い、オリジナルに近い姿をキープするオーナーも多いが、レイズファンミーティングで出会ったベイサイドブルーのR34に乗る“ゆ”さんは数少ない武闘派だ。イベントには数十台のGT-Rが来場していたが、オリジナリティにあふれるルックスは明らかに個性的。今も走り込む現役マシンだけが放つ、ただならぬオーラを放っていた。
購入したのは13年前。もともとはスバル「インプレッサWRX」でワインディングを駆け抜けていたというが、友人が所有するフルチューンのR32 GT-Rに乗って、その速さに魅了され、現在のR34に乗り替え。同じ道を歩み始めることになる。
最初は大阪の名門チューニングショップ「銭谷自動車」に出入りしていたそうだが、現在は前出の友人にすべての作業を依頼。実戦に基づく知見と技術力に全幅の信頼を寄せており、そのマシンメイクは1000psを超えるパフォーマンスと、ほかでは見ることがないオリジナルスタイルを両立した。
外側だけでなくフロア下もフラット化して空力性能を強化
フロントバンパーはNISMO製をベースに大型インタークーラーの冷却を考えて中央の開口部を拡大。フロントフェンダーは定番のNISMOのZ-tune用をアレンジしたのかと思いきやロシア製。10年前に購入したそうだ。サイドビューはサイドステップ下にアンダーディフューザーを取り付け。助手席側にあるデュアルパイプはウェイストゲートの排出用。サイドマフラーを想起させるデザインはレーシングなイメージするアイテムとしてもグッドだ。
生粋のレースカーのようなリアの大型アンダーディフューザーはワンオフ設計によるもの。フラット化して整流した下面の空気を効率的に抜くだけでなく、中央には大径デュアルマフラーを配置し、後方を走るマシンを威圧。高速域の安定性だけでなく、ビジュアルに対するこだわりが反映されたものだ。
かつてF1タービンと呼ばれた最強の過給機で武装
タコ足のようなインテークパイプに目を奪われるエンジンルームは本体がボアをオーバーサイズのφ87mmに変更しつつコンロッドを強化品するとともに、パワーを引き出すために重要なシリンダーヘッドはフル加工が施された。
ウォーターポンプを電動化するなど各部の駆動ロスを抑えながら、かつてF1タービンと呼ばれたIHIのRX6タービンを2基掛けすることでパワーは1000psに到達。マネージマントはAPEXiのフルコンであるパワーFCが受け持っている。排気量は拡大していないので、低速トルクはやや細いものの、高回転域で炸裂する暴力的な加速感は一度体験すると元に戻れない魔力があると語る。
そのパフォーマンスを支えるため、前後のブレーキはアメリカのSTOPTECH製に交換済み。ホイールは定番のTE37と悩んだが、装着当時に軽量と剛性を追求したVOLK RACING ZE40を選択した。サイズは今や廃番となった最大幅の11J×18 IN15で、これにヨコハマのSタイヤであるADVAN A050(295/35ZR18)を組み合わせた。ここまでしないと日産自慢の四駆システム・アテーサE-TSをもってしても1000psを受け止めることは難しいようだ。
インテリアは走ることだけに集中できる環境を構築
コクピットに目を移すと、純正のMFD(マルチファンクションディスプレイ)を廃止し、複数の大型サブメーターがメーターフードを囲むようにレイアウトされている。これは超高速域における視認性を考えてのことだ。
ダッシュボード貫通の8点式ロールケージを組むとともに、ドアまわりはスポット増し。フェンダー内にも補強プレートを追加するなどボディ補強も徹底している。シートはレカロのコンペティションモデルであるRMSをセットするとともにリアシートを取り外すなど、走ることに集中する環境は整えている。
オーナーの情熱と友人の技術が融合した結果、ユニークで高性能な1台に仕上がったR34。近年では見かけることが少なくなってしまった仕様だが、これもGT-Rを楽しむひとつの形。イリーガルな雰囲気に満ちた魅力溢れる仕上がりだ。