46年間ガレージで冬眠していた個体のセカンドオーナー
洋の東西を問わず自動車趣味人の中には幸運な人がいて、縁あって前オーナーから由緒正しいクルマを託されるケースがあります。1971年式のアルファ ロメオ「GT1300ジュニア」を引き継ぐことになった“のり”さん(56歳)も選ばれし自動車趣味人のひとり。46年間ガレージで冬眠していた個体のセカンドオーナーとなった“のり“さんの愛車を紹介します。
いまでは希少なオリジナルの内外装をキープ
2024年4月14日(日)、埼玉県行田市の古代蓮の里で開催されたアルファ ロメオのミーティング「カフェ・ド・ジュリア2024」に1971年式のアルファ ロメオ「GT1300ジュニア」で参加していた“のり“さん(56歳)。愛車について話を伺うと、このように語ってくれた。
「知人の紹介で、ワンオーナーでフルノーマルのGT1300ジュニアを4年前に購入しました。1971年式ですが、私が2人目のオーナーということになります。良好なコンディションの維持を第一に考えているので日常的に乗るのではなく、四季を感じる年数回のドライブとイベントへの参加に使用しています。この個体の魅力は、いまでは少なくなったオリジナルの内外装をキープし、前オーナーが残してくれた見事な経歴と完璧な書類があるところです」
ちなみに筆者は1974年式の「GT1600ジュニア」を長きにわたって愛用しており、“のり”さんの愛車とはエンジンの排気量が異なるだけで、そのほかの部分はまったく同じ外観のクルマ。クーペの魅力についても伺うと、このようにコメントしてくれた。
「スタイルや運動性能のよさなどが美点で、走る楽しみを最大限発揮できるのがクーペだと思います」
新車購入時の関連書類も会場で披露
“のり”さんによると、前オーナーは日本人の方で若い頃にイタリアに赴任しており、ジウジアーロが手がけたプロポーションのよさに惹かれてGT1300ジュニアの新車を購入。現地で約2年間乗り、1万6000kmを走破したのだという。
「1973年に日本のご実家へ個人輸入されましたが乗る機会がなく、その後46年間もガレージで冬眠していたのです。良縁で私が譲り受けてから、走行に関わる部分をオーバーホールして現在に至ります。天気がいい日のお楽しみとして私が走ったことにより、総走行距離は2万1900kmまで伸びました。欠品パーツはありません。ラバー製のフロアマット、シート、ダッシュボード、オリジナルボディの塗装に至るまで当時のままです」
前オーナーから新車購入時の関連書類がたくさん出てきたとの連絡があり、引き取りに行くと、契約書、カタログ、スペアパーツ、車検証入れ、ナンバープレート、その他のさまざまなアイテムを託されたという。そこで、カフェ・ド・ジュリア2024の会場で、筆者をはじめとするオーナー仲間にそれらを披露してくれた。
「フラットノーズの105/115系ジュリア クーぺは日本では少数派のようで、イベントに行ってもあまりウケがよくありませんね(笑)。やはり、日本において105/115系のクーぺといえば、段付きといった印象なのでしょう」
離れ目でフラットノーズのGT1300ジュニア&GT1600ジュニアは、たしかにマイナーな存在だが、“のり”さんの愛車はまさにタイムカプセル状態。どこかのイベントで遭遇したら、新車時の状態を保つディテールを確認させてもらうといいだろう。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)