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ブレーキが効かない!…となる前に、ブレーキフルードは定期的な交換が必要です。2年に一度の全交換が目安の理由とは?

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: AMW

  • ブレーキフルード交換時にクラッチフルードも交換をしておきたい
  • フルードは、熱の影響で劣化してくる。吸湿性が高くなり、湿気を吸ったフルードは沸点が徐々に下がってくるので定期的な交換が必要だ
  • エンジンルームのブレーキリザーバータンクを見て、フルードの色が茶色っぽく変色してきていたら早めに交換をオススメする
  • ブレーキフルードにはキャップに「DOT3」など規格が書かれている
  • ブレーキフルードの色味が変わっていたら交換時期だ
  • フルードが沸騰してしまうと、ブレーキラインの中に気泡が生じるため、ブレーキが効かなくなる
  • ブレーキフルードはキャップを外すと確認することができる

2年に一度は交換したい

車輪の回転を抑えるためのブレーキには、フルードと呼ばれる作動液が使用されています。通常、車検時に交換することが多いですが、クルマの走らせ方によっては早く劣化してしまうこともあります。改めて説明をしていきます。

ブレーキラインに気泡が入るとクルマが止まらなくなる

乗用車のブレーキシステムは、油圧式のディスクブレーキが主流。ブレーキペダルを踏み込むと、ブレーキフルードがマスターシリンダーから押し出され、ブレーキホース内を流れて、ブレーキキャリパーのピストンを押し出し、ブレーキパッドがブレーキディスクを挟み込んで制動力を生み出す仕組みだ。この油圧システムのすべてのカギを握っているのが、作動液=ブレーキフルードということになる。

ブレーキフルードは、ポリ・アルキレングリコール・モノエーテルなどグリコール系が主成分で、エンジンオイルのように潤滑性はなく、サラサラした液体で、沸点が高いのが特徴。新品であれば200℃を超えても沸騰しない。しかし熱の影響で劣化してくると、吸湿性が高くなり、湿気を吸ったフルードは沸点が徐々に下がってくるので定期的な交換が必要。

というのも、沸点が下がって、フルードが沸騰してしまうと、ブレーキラインの中に気泡が生じるため。ブレーキラインに気泡が入ると、ブレーキペダルを踏んでも、その気泡がつぶれるだけで、肝心のフルードが流れない。結果としてキャリパーまで踏力が伝わらず、ブレーキを踏んでも制動力が発生せず、大変恐ろしい目を見ることになるからだ(いわゆるべーパーロック現象のこと)。

フルードの沸点によって規格がある

ブレーキフルードには、その沸点によって規格があり、もっともポピュラーな「DOT3」のフルードだと、新品時の沸点(ドライ沸点)が205℃以上。2年ほど使用すると沸点は140℃ぐらいまで下がってしまう(ウエット沸点140℃以上)。

モータースポーツ用のDOT4やDOT5のフルードの場合、ドライ沸点はもっと高いが、その反面、吸湿性も高く、交換サイクルは短くなる。

交換サイクルだが、車検ごとに交換するのがひとつの目安。ただし、サーキットを走るなら、走るたびにエア抜き作業を行い、エアの量が多くなってきたら全量交換。また、エンジンルームのブレーキリザーバータンクを見て、フルードの色が茶色っぽく変色してきていたら早めに交換。新品のフルードは透明に近い薄い黄色の液体なので、それが濁ってきたら交換時期となる。

余談だが、MT車ならクラッチフルードもブレーキフルードと一緒に交換するのがおすすめ。クラッチフルードはブレーキフルードを流用したもの。ブレーキフルードほど熱の影響は受けないが、それでも鮮度は重要で、劣化が進むと、真夏などにべーパーロック現象が発生し、クラッチペダルを踏んでも、クラッチが切れなくなって焦ることも……。

いずれにせよ、ブレーキフルード(クラッチフルード)は鮮度が命なので、わずかなコストを惜しんで交換を先延ばししたりせず、2年に一度は交換するようにしよう。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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